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CBDはGRAS(グラス)として認められない!
昨日の朝、米国から驚くべきニュースが届きました。
FDAが「CBDはGRASではない」と表明し、15社へ警告文書を発行したのです。
これまで、CBDに対して 明確な態度を示してこなかったFDAが、 「CBDは、GRASとは結論付けられない」と 明確な態度を示したことは、極めて重要です。
ご存知の通り、GRASとは、 Generally Recognized As Safeの略で、 「一般的に安全と認められている原料 」という意味です。
米国では、食品に使用する原料には、 FDAによる許可を得た食品添加物か GRAS原料しか使用することはできません。
CBDはGRASとして認められない、という声明が出た以上、今後CBDを食品原料として使用することはできない、という意味です。
残る道は、NDI(New Dietary Ingredient:新規ダイエタリー原料) としてFDAに安全性の申請をし、 ダイエタリーサプリメントとして販売することですが、 事実上、FDAは受け入れないと思われます。
これらの事から、今後、米国でCBDが 食品やダイエタリーサプリメントとして
販売されることは非常に難しくなっていくと予想されます。
また、FDAは医療従事者に AER(重篤な有害事象報告)の提出を求めています。今後、重篤な有害事象の報告があれば、 NDI受け入れはますます遠のくと思われます。
今回、警告文書を受け取った企業は、 15営業日以内に対応する必要があります。
今回のFDAの動きは、今後世界中に波及していくと思います。
CBD商品への懸念
GNGは早くから、 CBDを日本で販売する場合は、 使用部位と成分の両面から 懸念があると警鐘を鳴らしてきました。
今後は、今まで以上に注意が必要になると思います。
実は、「空気が原料のプロテイン」という 実に面白いニュースがあったのですが、 FDAの動向のため、影が薄れてしまいました。
CBD以外にも、注目すべきニュースばかりですので、今号も楽しんで下さい。
グローバルニュートリション研究会主宰 武田 猛
■11月28日号トピックス
●Natural Machines社の3Dプリンター、Foodiniは食のパーソナライズ世界を広げる
●健康ウェルネスのトレンドが更に拡張、フルーツ・スナック業界にも大きく影響
●Oba社、グルテンフリー古代穀類フォニオを原料としたパスタを発売
●腸内細菌叢が睡眠、認知機能に影響をもたらす可能性
●植物化合物の筋肉損傷予防、神経保護効果に関するエビデンス
●GOED、オメガ3脂肪酸に関するデータベースを構築、同産業への貢献を期待
●「プロテインバーはヘルシースナックとは思えない」アイルランド、Safefood調査
●イスラエルのZero Egg社、プラントベースの卵代替品を開発
●Nestle社、機能性原料メーカーCorbion社と協調し次世代微細藻類商品開発へ
●米・Kiverdi社、空気が原料のプロテイン素材「Air Protein」発表
●FDAがCBDはGRASではないと述べ、15社へ警告文書を発行
●CBDに関する法整備が進まず、FDAへの怠慢に不満をつのらせるCBD業界
●健康食品業界でCBDはホットな話題、Supply Side West 2019のイベント
●栄養摂取量の規定に関しEU内での統一はまだ先か
●栄養・健康強調表示に関するEU規則は是正、見直しされ発展を続けている
[今号のハイライト]
FDAが CBDは GRASではないと述べ、 15社へ警告文書を発行
[2019/11/26] [nutraingredients-usa.com]
FDAは 11月25日、 CBD製品販売企業15社へ警告文書を発行した。
その警告文書の中でFDAは「食品中の CBDの安全性を裏付ける科学的情報の欠如」に基づき、CBD(カンナジオールがヒトまたは動物用の食品での使用に関して GRAS 一般的に安全と認められる原料 )だと結論付けることはできないと述べ、 FDC法( Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)に基づき、 CBDは薬物であり、ヒトまたは動物用製品、特に GRAS確認を主張する食品およびダイエタリーサプリメントは合法ではないという立場を明確にした。
FDAはまた、 CBD製品に関する潜在的肝障害、他の薬物との相互作用、眠気、下痢、気分の変調など安全性の懸念について消費者向け情報を改訂した。
当局は、警告文書を受け取った企業は15営業日以内に対応する必要があり、違反事項を速やかに修正しなかった場合は警告文書の受取人に通知することなく措置(差押、差止命令)を行う可能性があると述べている。
<UNPAによる、今回明確 と なった事項>
● 消費者向け情報の改定と警告書は、 FDAによる CBD市場にブレーキをかけるための重要かつ協調的かつ高度に調整された努力によるものである。
● FDAはまだクレームを出していない企業をターゲットにしていないが、ストレス、不安、痛みなどの一般的なクレームに対する懸念を大きくしている。
● 警告文書のうちの少なくとも 1通で、クルクミンと CBDの組み合わせ製品に言及しており、クルクミンに関連する癌のヘルスクレームを引き合いに出している。
● FDAは CBDの安全性に対する懸念を拡大。
● FDAは、医療従事者に AER(重篤な有害事象報告 の提出を要求している。
● FDAは、「今後数週間以内に」進捗状況を更新することを示しており、追加の警告文書が発行される予定である。
● CBDおよびその他カンナビノイドを定義するための闘争が始まったため、この問題におけるそれぞれの利益に関する今後の見通しがより 明確になり つつある。
今回警告文書を受け取った企業一覧
Koi CBD LLC
Pink Collections Inc.
Noil Oil
Natural Native LLC
Whole Leaf Organics LLC
Infinite Product Company LLLP
Apex Hemp Oil LLC
Bella Rose Labs
Sunflora Inc.
Healthy Hemp Strategies LLC
Private I Salon LLC
Organix Industries Inc.
Red Pill Medical Inc.
Sabai Ventures Ltd.
Daddy Burt LLC
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2019年11月28日号」より抜粋)
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