- GNGが選ぶ健康食品業界10大トピックス|2020年新年特別号
新年、明けましておめでとうございます。いよいよオリンピックイヤーの2020年がスタートします。
この1年が、皆様にとって素晴らしい年となる様、スタッフ一同、心よりお祈りしております。
さて、機能性表示食品の届出件数が2,400件(2019年12月27日現在、撤回を除く)となりました。
そして、この機能性表示食品制度は、海外企業も強い関心を持っていて、届出を進めている海外企業も複数あります。更に、この制度に注目している海外政府や機関、業界団体も少なくありません。
「機能性表示食品制度は、世界最先端を目指す」と語った当時の消費者庁の担当官の顔を思い出します。今後、機能性表示食品制度は、海外の参考になっていくと思います。そしてメディカル・フードが次の大きなテーマになると予測しています。
メディカル・フードといっても、必ずしも医療機関のみで販売される訳ではありません。人生100年時代、75歳定年制度、など、人類、特に日本人は、これまで経験したことのない時代と関わっていくことを避けて通ることは出来ません。健常者の枠を超えて食品の機能性が求められる時代に入っていかざるを得ないと思います。
そのような想いで、会員向けニューズレターの分析・洞察においては、米国のメディカル・フードの概要を俯瞰してみました。
今年も、これまで以上に皆様のお役に立てるよう、全スタッフの総力を結集して真摯に取り組んでまいります。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
グローバルニュートリション研究会主宰 武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2020年1月6日 新年特別号 トピックス
- 機能性表示食品、届出数2,600件越え&新たな動向、続くトクホ離れ
- 【国内/海外】腸脳相関の解明による「腸の健康」の精神に対する影響が明らかに
- 【国内/海外】プロテイン
- 【国内/海外】ブレインヘルス
- アンチ・ドーピング
- 【海外】急速に成長するCBD市場
- 【海外】パーソナライゼーションは、止まらない
- 【国内/海外】プラントベース市場は引き続き拡大
- 【米国】ケトダイエット人気続く
- 【国内/海外】産学官連携
[今号のハイライト]
1. 機能性表示食品、届出数2,600件越え&新たな動向、続くトクホ離れ
[2020/01/06]
機能性表示食品の届出件数が2,600件を突破した(届出撤回を含む)。届出企業数は670社となり、届出事業者も多様化している。届出件数が伸びている背景には、制度を活用する事業者の拡大や、ガイドライン改正に伴う新たな動向がある。
一つの大きな特徴は、地方の企業も制度を活用し始めたことである。その影響もあり生鮮食品も届出件数が40件を超えた。もやし、みかんは制度のスタート当初から見られたが、その他に卵、冷凍ホウレンソウ、肉などの届出も公表されている。
地方企業の取り組みや生鮮食品の届出例としては、株式会社オカベ(愛媛県)の「瀬戸内かあちゃんの食べる小魚」(機能性関与成分:DHA・EPA)、イセ食品株式会社(埼玉県)の「機能性表示食品伊勢の卵」(機能性関与成分:DHA・EPA)、全国農業協同組合連合会の「長野県JA産えのきたけ」(機能性関与成分:GABA)などが挙げられる。また、生鮮食品の中で農事組合法人福栄組合(福岡県)の「はかた地どり」(機能性関与成分:アンセリン、カルノシン)、株式会社クリマ(群馬県)の「枝豚肉氷温熟成氷室豚 14日熟成」(機能性関与成分:イミダゾールジペプチド)のように、肉類の届出が注目された。
二つ目の特徴は、ガイドラインの改正がある。大きな変化として、まず挙げられるのは機能性関与成分が不明確な「エキス等」区分の届出受付が開始されたことである。一番乗りは、6月3日に公表された「桃屋のいつもいきいき」である。機能性関与成分は熟成にんにくエキス。本製品は液状であるため、溶出試験や崩壊試験が不要となり、カプセルや錠剤などの形態と比べるとハードルが低かったという見解もあり、今後このような届出が増える可能性が示唆される。
別のエキス等の届出例としては、BGG Japan株式会社のノコギリヤシオイルを用いたサプリメントへの挑戦も注目される。同社は、ヒト試験や安全性試験を実施するなど、届出の準備を進めている。ノコギリヤシにおいては、他の成分と混ざった偽物も出回っているため、判別方法も重要となる。
ガイドラインの改正に伴うもう一つの大きなポイントは、軽症者データの取り扱いが拡大したことである。「鼻目のアレルギー反応関係」、「中長期的な血清尿酸値関係」、「食後の血清尿酸値の上昇関係」の3領域について、軽症者データの使用が認められた。この変更を受けて、11月には「花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減する」という機能性表示の届出が初めて公表されている。表示については「花粉症の治療薬」とみなされないような工夫が必要とされる。
軽症者データの取り扱いに加え、認知機能においてはMCI(軽度認知障害)の人を健常者の範囲に入れるという考えが示された。10月30日に届出が公表された株式会社セラバリューズのサプリメントには、セラクルミンを機能性関与成分として初めてMCIを機能性表示に盛り込まれた。疾病の予防効果があるという誤解を防ぐためにも、MCIが健常者であるという認識を消費者に定着するのが今後の課題となる。
ガイドラインの改正により、特定保健用食品(トクホ)では認められていない領域が機能性表示食品で可能となった。そして先に述べた生鮮食品のケースにおいては、トクホ制度の許可件数はまだゼロであるのに対し、機能性表示食品の届出件数は40件を超えている。これらを踏まえると、費用面・制度面ともにハードルの高いトクホはますます敬遠されていくことが考えられる。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2020年1月6日号」より抜粋)
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