科学に基づくイノベーションの成功とはどのようなものだろうか? |NNBマンスリーレポート2025年7月号

こんにちは。GNGの武田です。

今号では、5つの注目イノベーションケーススタディが紹介されるとともに、論説で次のような興味深い視点が語られています。
“革新的な栄養科学を商業的に成功させるには、科学そのものは一部に過ぎない。過去30年間の実例が示すところでは、イノベーションを信頼性のあるヘルスクレームに結びつけ、消費者に受け入れられる製品として実用化することは、むしろ「容易な部分」である。それは、製品を成功に導く要素全体の半分にも満たないのである。”
この言葉は、とても心に響きました。
来週開催予定のNNBポイント解説セミナーでは、この論説を中心に深掘りをしたいと思います。

イノベーションケーススタディの1つに、オーストラリアのAdepa Lifesciences社の革新的な新製品が紹介されています。
Adepa社は、従来のプロバイオティクスやプレバイオティクスに代わる新たな概念「Peribiotics(パービオティクス)」という独自の腸活アプローチを提案しています。
注目すべきは、腸の健康を支える「分岐鎖脂肪酸(BCFA)」にいち早く着目している点です。
BCFAは、乳児期の腸環境(胎脂など)に自然に存在する脂質で、炎症抑制や上皮バリア強化といった重要な働きを持つことが近年明らかになってきました。
Adepa社は、酵母由来のBacillus subtilis BG01 4™(加熱処理済み死菌)を用いて自然にBCFAを含む製品を開発しました。
2023年にはこの成分によるヒト臨床試験(4週間)を実施し、便秘、膨満感、消化不良などの機能性胃腸症(FGID)の症状に有意な改善効果が確認されています(Nutrients誌掲載)。
この取り組みは、
   • 「菌ではなく“菌がつくる脂質”に注目」
   • 「生菌ではなく加熱死菌を活用」
   • 「乳児の自然な腸内環境に学ぶ製品設計」
といった点で非常にユニークであり、次世代の腸活素材・機能性表示食品の開発にヒントを与える事例といえます。

更に、日本発イノベーションも取り上げられています。
アサヒグループが3月に発売した「LIKE MILK」は、牛乳でも豆乳でもない、“アレルゲンフリーかつ栄養機能をもった“新しいミルク様飲料”として注目しています。
LIKE MILKは、酵母由来のプロテインと食物繊維(β-グルカン・α-マンナン)を主成分としており、
   • アレルゲン28品目不使用
   • 乳不使用(ヴィーガン対応)
   • たんぱく質・食物繊維が豊富
   • クセのない味わいでそのまま飲める、料理にも使える
という特長を備えています。
NNBでは、LIKE MILKを「味、健康、包括性という“3つの原則の融合”に立つ製品」と高く評価しています。
また、従来の植物性ミルクとの差別化として、“Real Food”感(本物の食品感)と“使いやすさ”を訴求している点にも注目しています。
試飲イベントでは、「クセがなく飲みやすい」「牛乳が苦手でもこれなら飲める」「料理に使いたい」などポジティブな声が多数寄せられ、味の受容性も高いことも評価されています。
LIKE MILKは、機能性・食経験・アレルゲン対応のいずれも妥協しない、新しい「ミルクのカテゴリ」を切り拓く存在です。
今後の市場展開や海外展開も含めて、注視すべき製品だと注目されています。

Adepa社とともに、まったく異なるアプローチで腸や栄養に向き合うこれらの事例以外にも3つのイノベーションケーススタディも紹介されています。

少しでも皆様の商品開発・差別化のヒントとしてお役に立てば幸甚です。

武田 猛

この記事について

GNGでは、会員向けに英国発信の食品・栄養・健康分野の業界専門誌【NNBマガジン(New Nutrition Business)】を日本語に翻訳し、定期的にお届けしています(月1回)。

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この記事では、その会員向けマガジンの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

■NNB(New Nutrition Business)7月号  トピックス

今回、会員向けにお届けしたNNB日本語版のタイトルは以下の通りです:
●GLP-1受容体作動薬:食品にとって脅威かそれともチャンスか?
●動物性たんぱく質がブランドの成功ランキングと消費者の嗜好を支配する
●科学に基づくイノベーションの成功とはどのようなものだろうか?
●CalocurbはGLP-1薬に代わるナチュラルな代替薬となることを約束する
●パービオティクス:腸の健康はここから始まる
●アサヒグループの酵母の専門技術が新しいカテゴリを創出
●真のイノベーションは問題を抱える代替ビジネスを一新できるのか?
●牛乳の美味しさをすべてバイオリアクターから
●牛脂:再び流行るのか、一過性の流行に終わるのか?
●便利なたんぱく質が米国の新製品リリースの成功を牽引
●プロバイオティクス大手企業の戦略はいまなお成功への道標となる

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[今号のハイライト]

科学に基づくイノベーションの成功とはどのようなものだろうか?

ソニーの創業者である故盛田昭夫氏は、成功するビジネスを築くための基盤としてイノ
ベーションを強く提唱していた。同氏はイノベーションとはリスクを取ることに他ならな
いと信じていた。特に、人々がまだ自覚していない欲求を満たすために、全く新しいタイプ
の製品を生み出すためのリスクを取る重要性を語った。同氏は 1979 年に発売された音楽プ
レーヤーSony Walkmanで、その偉業を成し遂げた。
今号では、原料のイノベーションに取り組む 5 つの科学系企業と、イノベーションによ
って新たなビジネスを成功させた 1 つの食品ブランド企業を紹介する。

(会員向けニューズレター「NNBマンスリーレポート2025年7月号」日本語版より抜粋)

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18年間の実務経験と21年間のコンサル経験を積み、39年間一貫して健康食品ビジネスに携わる。国内外800以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置付け、自らのビジネスを正確に位置付ける」という「グローバルセンス」のもとに先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評がある。世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発・マーケティング・海外進出などのコンサルティングを行っている。人が幸せに生きるためには健康が第一である。健康食品産業は「幸せ創造産業」である、という信念のもと、クライアントの成功を通じ、消費者に支持される業界を目指し、業界で働く人すべてが自分の仕事に誇りと自信をもてるようにしたいという想いから、業界健全化活動にも取り組んでいる。

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