こんにちは、GNG武田です。
紅麹事故で、ウェルネスフード(サプリメント、機能性食品)のみならず、食品全般に関する安全性についての議論が活発化しています。
代替プロテインの中でもその将来性が期待されているものが「発酵プロテイン」です。ご存じの通り、発酵プロテインとは、菌類、細菌、藻類などの微生物の発酵により得られるたんぱく質のことですが、
精密発酵: 特定のタンパク成分を発酵で生成する技術
バイオマス発酵: 微細藻類やマイコプロテイン(真菌タンパク質)などを他の栄養素と組み合わせて発酵させ、短時間でタンパク質を生成させて食品にする技術。
に分けられます。
今号では、欧州における精密発酵プロテインのノベルフード申請状況の記事が取り上げられています。精密発酵プロテインは、どの国でも新規食品(ノベルフード)に該当しますので、国による審査が必要です。ノベルフード制度のない米国でも、GRAS確認が必要になります。
EFSA(欧州食品安全機関)にノベルフード申請をしている2社は、既に米国(FDAは異議なし)、シンガポールでは許可されていますが、欧州では審査が進んでいないようです。各国の食品安全に対する考え方の違いが見られる良い事例です。
日本でも発酵プロテインの安全性の議論は避けて通れません。現在進められている「機能性表示食品を巡る検討会」で、新規食品(ノベルフード)のルール化に対する議論が進むかは分かりませんが、避けては通れないテーマだと思います。
武田 猛
この記事について
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この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
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■GNGグローバルニュース 2024年5月10日号 トピックス
Products & Technology News プロダクツ&テクノロジー
●PhenOlives、オリーブオイル生産のアップサイクルでオリーブ粉を開発
●Nutricode社、AIを駆使しパーソナライズドニュートリションプラットフォームを構築
Science News サイエンス
●和食と環境影響との関連性
●高濃度オメガ3が死亡リスクを下げる可能性
●サフランはAMDの進行を遅らせる可能性
●ジャンクフードが脳に長期的なダメージを与える可能性
Company News 企業情報
●米Amazon、ポリシー改定は3分野を優先
Regulatory News 法規制
●FDAのCBD商品に対する見解
●上海、甘味料入り飲料に対する信号型ラベル表示の試験運用開始
●欧州における精密発酵たんぱく質の新規食品申請状況
[今号のハイライト]
欧州における精密発酵たんぱく質の新規食品申請状況
[2024/4/17] [foodnavigator.com]
欧州食品安全機関(EFSA)に対する精密発酵由来乳製品たんぱく質の新規食品申請は、これまで2企業から提出されている。その後の状況をまとめた。
申請を行った2社のうちの1社はPerfect Day社で、2020年、精密発酵由来のホエイたんぱく質に対する認可を米国食品医薬品局(FDA)から得た後、2022年、EFSAに申請を行ったが、評価は進んでいないという。EFSAの広報によると、申請が妥当であり、必要な情報が含まれているか、要件を満たしているかを精査しており、情報が欠けている、あるいは要件に満たしていないと判断されれば、申請者に差し戻し、必要な変更を加えるよう示すという。Perfect Day社にコメントを求めたが、返答はなされていない。
もう1件はRemilk社(イスラエル)の精密発酵ホエイ、ベータラクトグロブリンだが、申請に不備があるとしてEFSAから「不適合通知」を受け取っている。その後、同社は再申請を提出した。同製品は、イスラエル、シンガポール、米国で認可を得ている。
欧州の精密発酵由来たんぱく質に関する新規食品申請は2社のみだが、シンガポールや米国では、精密発酵関連のスタートアップ企業からの申請が増えることが予測されている。それは、欧州に比べこれらの国の規制機関における手続きが迅速で簡易だからだと考えられると、Food Law Science and PartnersのKatia Merten-Lentz氏は推測する。同氏は「例えば、科学的根拠の証明という点でも、EFSAはサンプルを5件求めるが、他では3件で十分としている。これは、経済的な点からみても、大きな違いである。また、精密発酵規制においての障害は、微生物株の遺伝子操作後に組み替えDNAが十分に取り除かれていない場合、最終商品のGMOステータスが問題となる可能性もある」と説明した。
欧州での申請が難関なのは、申請国が1か国ではなく、加盟国それぞれに口出しする権利があるということだ。現在では、EFSAは9か月以内に最終意見を取りまとめ、結果を通知するとしているが、申請書類が不完全であったり、エビデンスが弱い場合、EFSAは「ストップ・ザ・クロック」を発動し、手続きを遅らせることができる。申請情報がEFSAの要件を満たさない限り、時計はいつまでも止まったままなのである。Lentz氏は「時間を短縮するうえで重要なのは、提出書類を完璧なものに仕上げることだ」と話した。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2024年5月10日号」より抜粋)
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