本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、機能性原料を海外展開する際に重要な位置付けとなる海外展示会、VitafoodsとSupplySideについて、その歴史と業界への影響力について解説しています。
国内ニュースからは、ウェルネス総研から「ウェルネストレンド白書 Vol.4」発刊:若者より中年男性のほうが健康意識低い実態、アジア・インド・中東地域の事業加速へ、三生医薬がマレーシア営業所を開設、健康モチベ調査:8割超が行動に移せない経験ありといった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です。
2025年5月、スペイン・バルセロナで開催された世界最大級の機能性食品展示会Vitafoods Europe 2025において、森永乳業さんのビフィズス菌「Bifidobacterium breve MCC1274」が、Vitafoods Innovation Awards の「認知および感情の健康成分 (Cognitive and Emotional Health Ingredient)」部門で最優秀賞を受賞しました。
この賞は、革新的な機能性素材や製品に対して授与される栄誉ある国際的アワードで、今年2025年に新設された部門です。森永乳業さんのMCC1274は、単一のビフィズス菌株によって加齢に伴う認知機能の低下を予防する可能性を示す臨床的エビデンスを有しており、その科学的根拠と独自性が高く評価されました。
MCC1274は、ヒト由来の短鎖ビフィズス菌(short-chain-type bifidobacteria)であり、腸内環境の改善だけでなく、脳腸相関(brain-gut axis)を通じて記憶や認知機能に寄与することが示唆されています。これまでに7件の試験(内3件はヒト試験)が実施されており、ヒト試験では高齢者における記憶保持や空間認識能力の維持などの効果が報告されています。
Vitafoods Innovation Awardの受賞は、MCC1274の科学的信頼性と国際的競争力を裏付けるものであり、今後のグローバル市場展開やOEM企業への提案において極めて重要な差別化要因となります。また、社内的にも研究開発の成果としての評価が高まり、ブランド戦略の推進に弾みをつけると思います。
Vitafoods Europeにおける受賞は単なる名誉にとどまらず、規制対応、科学的裏付け、ブランド価値、製品開発スピード、国際的な信頼性に至るまで、多方面での実践的なインパクトを持ちます。森永乳業さんのこの受賞は、脳腸相関をキーワードとした“認知・感情の健康(Cognitive and Emotional Health)”分野における日本発素材の存在感を世界に示す象徴的な出来事となるでしょう。
米国でも大きな動きがありました。
11日、米国FDAはNDIN(New Dietary Ingredient Notification)の理解を促進するため、動画2本と補足資料1枚を公開しました。これは、業界関係者が通知を適切かつ完全にFDAへ提出する助けとなるものです。
“FDA Releases Educational Materials on the New Dietary Ingredient Notification Process for Dietary Supplement”
https://www.fda.gov/food/hfp-constituent-updates/fda-releases-educational-materials-new-dietary-ingredient-notification-process-dietary-supplements
公開された教材は以下のとおりです:
1. 「NDINプロセスの重要ポイント」(動画およびファクトシート)
2. 「FDAと通知者とのやりとり」(動画)
これらは、提出から査閲までの一連の流れを整理し、正確かつ完璧なNDINの提出と、FDAによるスムーズな科学的レビューを支援する内容です。
ただし、NDI制度そのものに変化があったわけではありません。
本号では、機能性原料を海外展開する際に重要な位置付けとなる海外展示会、VitafoodsとSupplySideについて、その歴史と業界への影響力を整理してみました。
海外展開を進行中、準備中、検討中の皆さんが展示会出展を判断される際の参考になると思います。
そして木曜日(19日)14:00~15:30、Baker Dillon Group社 Sheldon Baker氏によるオンラインセミナーを開催します。
『米国進出への第一歩―機能性原料の展示会活用法』
(旧題:SupplySide Global 事前、開催中、および事後のプロモーションについて)
・展示会に出展する価値
・SupplySide Connect(2025年4月開催/ニュージャージー州セコーカス)
・SupplySide Global(2025年10月開催/ネバダ州ラスベガス)
となっており、とてもタイムリーです。
詳細はこちら
武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2025年6月16日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
NEW PRODUCTS 新商品
●炭酸飲料がゼリーに変化、空腹マネジメントドリンク 「inタンサン」森永製菓が発売
●カゴメ、機能性表示食品としてリニューアル「植物性乳酸菌 ラブレカプセル」
●手軽にスーパーフード、伊藤園「アサイーボウル Smoothie」新発売
MARKET NEWS マーケット
●2025 年 4月のドラッグストア販売額、「健康食品」は前年同月比9.6%増加
●健康モチベ調査:8割超が行動に移せない経験あり
●ウェルネス総研から「ウェルネストレンド白書 Vol.4」発刊:若者より中年男性のほうが健康意識低い実態
SCIENCE NEWS サイエンス
●カルビーら、プレバイオティクスを含むグラノーラの摂食が睡眠の質とストレスを改善する可能性示唆
●明治・明治HD、ヨーグルトの摂取と呼吸器感染症罹患との関連についての観察研究の結果を発表
●硬性チューイングキャンディで子どもの舌圧向上に期待 森永製菓と鶴見大との共同研究
●エスビーと愛媛大、にんにくの摂取習慣がロコモティブシンドローム予防に寄与する可能性示唆
COMPANY NEWS 企業情報
●アジア・インド・中東地域の事業加速へ、三生医薬がマレーシア営業所を開設
●DHCが機能性表示食品 全32商品の機能性関与成分の分析結果を開示
●森永乳業のビフィズス菌MCC1274が Vitafoods Innovation Awards「認知および感情の健康成分」部門最優秀賞受賞
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[今号のハイライト]
森永乳業のビフィズス菌MCC1274が Vitafoods Innovation Awards「認知および感情の健康成分」部門最優秀賞受賞
森永乳業株式会社は同社独自素材の「ビフィズス菌MCC1274(Bifidobacterium breve MCC1274)」が、Informa Markets 社(本社:英国)主催の Vitafoods Europeにおいて、「Vitafoods Innovation Awards」の「認知および感情の健康成分」部門で最優秀賞を受賞したことを発表した。
同賞は、機能性食品分野での革新を称える目的で2025年に新設された。同菌は、商業応用の可能性や科学的エビデンスの豊富さとその貢献の重要性が評価されたという。
近年、腸内細菌に関する研究が飛躍的に発展し、特に脳と腸が密接に関わる関係(脳腸相関)が注目を浴びている。同社が特定した「ビフィズス菌MCC1274」は健常な中高年の人の加齢に伴い低下する認知機能の一部である記憶力、空間認識力を維持する働きが報告されている。
国内外の菌体事業を中期経営計画の成長領域に位置づける、海外売上比率15%以上を目標に掲げるなど、グローバル展開を目指している同社は「今回の受賞を励みに、これからも世界の健康・栄養に貢献するために、質の高い研究・素材・商品を提供してまいります」と述べている。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2025年6月16日号」より抜粋)
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