味の素㈱、東京大学と社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設、ほか|GNGニューズレター7月3日号

本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、FFC2.0に向けて(1)PRISMA2020声明 について解説しました。

国内ニュースからは、株式会社クリニコ、『メモリービフィズス菌』を機能性表示食品として新発売、【乳酸菌入り飲料に関する調査】乳酸菌入り飲料選定時の重視点は、「価格」「機能・効果」「飲みやすさ」「味」 、味の素㈱、東京大学と社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設
などといった話題を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

こんにちは、GNG武田です。

米国DSHEA(Dietary Supplement Health and Education Act:ダイエタリーサプリメント健康教育法)が施行されて、来年で30年を迎えます。
DSHEAが施行された1994年以降、ダイエタリーサプリメントの新商品が次々に発売され、1994~1998年のサプリメント市場は、2桁成長を続けました。

一方、市場は急成長しましたが、すぐさま問題にも直面しました。
それは、制度を守らない企業が続出したということです。当時、構造/機能表示のルールを守っている企業は約50%程度しかいませんでした。
その原因は、DSHEAのルールをきちんと理解していない企業がいたことと、FDAの規制が甘いため、コンプライアンスを重視していない企業が多かったからです。

そして、効果に疑いを持ったメディアによるネガティブな報道が市場全体に影響を与えました。
実際に、品質の悪い製品が流通していた事も浮き彫りとなりました。

1998~2004年において市場成長率に急ブレーキがかかった要因には、以下のようなことが考えられます。

メディアに関する要因
・ハーブやビタミンに関するネガティブ研究結果の報道が他のカテゴリーにも影響した

科学に関する要因
・サプリメントの有効性を示す研究結果数、信憑性の不足
・ヒト試験結果の不足、または矛盾するヒト試験結果
・疾病予防を目的とした研究に対する行政の助成が不足

品質に関する要因
・摂取量、品質、含有成分量の不明確さ
・ConsumerLab.comによる表示の真実の暴露、ラベル表示の詐称による信頼度低下

これらの状況を踏まえ、FDAも対策を講じました。
2000年、FDAは「構造/機能強調表示に関するガイダンス(Structure/Function Claims, Small Entity Compliance Guide)」を発表しました。

そして、連邦行政規則集に構造機能表示の種類と疾病表示の種類に関する記述が加えられました。
2007年、連邦行政規則集が改正され、ダイエタリーサプリメント(DS)の製造、包装、表示および保管のためのcGMPがすべての製造、供給業者に義務付けられました。

DSHEA施行後10余年の間、ルールを守らない一部の企業のため、市場は混乱し、行政は規制を強化しました。
そして10年ほど前から「DSHEA2.0」という言葉が出てきました。
それは、DSHEAが制度として古くなってきており、時代に合わせて進化させるべきであるという議論でした。
特に、CBDの問題やCOVID-19パンデミックに伴う混乱もあり、DSHEA2.0に関する議論は2021年以降活発になっています。

現在まで、DSHEA2.0は以下の5つのテーマとなっています。
1.製品登録の義務化
2.有害事象報告の最新化
3.GRAS規定の修正
4.医薬品との相互作用の警告表示の義務付け
5.ダイエタリーサプリメントプログラム局(ODSP)およびFDA執行部の強化

ここでは詳細の説明は割愛しますが、基本的に規制の強化です。
規制の方向性は異なりますが、何となく、今の機能性表示食品制度が置かれている状況と似ていると思いませんか?
昨今の状況を鑑みて、機能性表示食品(Foods with Function Claims:FFC)制度についても、FFC2.0に対する議論が必要ではないかと思います。

まずは、近日中に改正されるであろう届出ガイドラインに、最も大きな影響を与えると思われるPRISMA2020について、「FFC2.0に向けて」の第一弾として整理をしてみました。
PRISMA2009とPRISMA2020の対比表も作ってみました。
機能性表示食品制度の肝でもあるシステマティック・レビューのスタンダードが変わったわけですので、制度もそれに合わせて進化せざるを得ません。

ガイドラインの内容や届出書類がどのように変わるのかはまだ分かりませんが、PRISMA2020の考え方を予め知っておくことは重要だと思います。
GNGでは、2022年からPRISMA2020に準拠したSRを実施しています(一部未対応)。

また、AMSTER2.0に基づくSRの質をレビューのご要望も増えてまいりましたので、準備を進めています。
ガイドラインが改正された際には、速やかに勉強会等を開催する予定です。

武田 猛

GNGニューズレター(国内情報) 2023年7月3日 トピックス

<国内ニュース(要約)>

NEW PRODUCTS 新商品
●安眠のための 令和の新常識 “レタス” のお茶『フッカラン茶』発売開始
●ヤマモリ『青果用 甘熟王バナナ黒酢360ml』 『青果用 甘熟王パイン黒酢360ml』新発売
● 株式会社クリニコ、『メモリービフィズス菌』を機能性表示食品として新発売

MARKET NEWS マーケット
●AI食事管理アプリ『あすけん』のあすママコース利用者約1.7万人の喫食ランキングを発表
●認知症予防を意識的に実践しているシニアはわずか37.7% | シニア調査
●【乳酸菌入り飲料に関する調査】乳酸菌入り飲料選定時の重視点は、「価格」「機能・効果」「飲みやすさ」「味」

COMPANY NEWS 企業情報
●明治の「脱酸素低温発酵法」、令和5年度全国発明表彰で受賞
●再春館製薬所 、「不知火菊」から抽出した有効成分の特許を取得
●㈱雪国まいたけ、きのこを主原料とした代替肉の開発に成功
●味の素㈱、東京大学と社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設

SCIENCE NEWS サイエンス
●阿部養庵堂薬品、NMNサプリメントの安全性試験の結果を発表
●キユーピー、マイクロRNAと食事、肥満、がんとの関係性を発表
●ファンケル、白麹菌成分による細胞の糖化ダメージと老化促進シグナルの抑制効果を確認
●くず餅由来の新たな乳酸菌「F1805株」を発見
●軽度認知障害(MCI)に関連する腸内細菌叢の異常を解明、腸内細菌叢の組成データを用いたMCIの診断(リスクの推定)方法を開発

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[今号のハイライト]
味の素㈱、東京大学と社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設

[原文:ajinomoto.co.jp]

味の素株式会社は国立大学法人東京大学の大学院医学系研究科に、同大学と共同して「人々の健康寿命の延伸とウェルビーイングの実現への貢献」に取組む東京大学社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設した。先端研究によって、個々人の食生活を健康寿命延伸に結び付けるための要因や方法を解き明かし、健康な食生活への一人ひとりの改善策を示して行動変容を導き、課題の解決に繋げることを目的としている。

同社は東京大学と共に、栄養疫学、行動栄養学に基づく緻密な調査とデータ解析により、生活者が持つ健康への課題・理想を理解し、行動変化へのキーファクターを解明、これを同社の健康ソリューション開発に組み入れ、科学的根拠に基づく独自な課題解決方法を提供し、社会貢献を図っていく。

共同研究の内容は、次の通りである。

1 食に関わる行動、意識、健康指標を測定し、構築したデータベースを用いて、食と健康の関係を栄養疫学的に解析する。健康、不健康行動に繋がるキーファクターを解明し、健康に導くソリューション提供技術を研究会開発する。
2 食に関する行動の変容を促進できる栄養プロファイリング手法を含めた新しい食事問診票を開発する。
3 他の研究機関の検診フィールドとの連携による食事調査、栄養疫学解析を通じて、食による健康寿命延伸を実現する健康ソリューションの開発を手掛ける。

同講座の設置期間は2023年5月1日~2028年4月30日となっている。

(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2023年7月3日号」より抜粋)

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18年間の実務経験と20年間のコンサル経験を積み、38年間一貫して健康食品ビジネスに携わる。国内外750以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置付け、自らのビジネスを正確に位置付ける」という「グローバルセンス」のもとに先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評がある。世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発・マーケティング・海外進出などのコンサルティングを行っている。人が幸せに生きるためには健康が第一である。健康食品産業は「幸せ創造産業」である、という信念のもと、クライアントの成功を通じ、消費者に支持される業界を目指し、業界で働く人すべてが自分の仕事に誇りと自信をもてるようにしたいという想いから、業界健全化活動にも取り組んでいる。

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