本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、寺門がプラントベースたんぱく質製品の好事例を紹介しています。
国内ニュースからは、LINE、「完全栄養食」に関する意識調査の結果発表、キリンiMUSE、東南アジアの乳製品市場をターゲットに他企業とコラボ、イチジクの葉由来の乳酸菌産生物質、肝炎を抑制する腸内細菌を増加する可能性、キリンと花王、内臓脂肪と免疫の関連について共同研究を開始、明治のプロバイオティクスOLL2712株が高齢者の記憶力を改善する可能性、などといった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNGの寺門です。
現在、COP27で各国の首脳が環境問題への対応について話し合いが行われていますが、その中で注目したいのが、COPで今回初めて「農業と食糧安全保障」が気候変動対策で重要な事項であるとして議題の1つに設定され、その議題についての公式パビリオンも設置されたことです。食料安全保障は今年の議長国エジプトにとって重要課題の一つで、同国が公表した2030年までの行動計画には、「食品ロスの削減」や「代替肉市場の拡大」が盛り込まれています。これほど食料に関して力を入れたCOPはなく、食分野における対策の進展が期待されます。
2015年のパリ協定COP21で、「2050年までの気温上昇を産業革命以前と比べ1.5℃に抑える努力を追求する」として以来、動物肉の代替としてプラントベース代替肉への注目は高まり、多くの投資がなされ、数々の企業が市場に参入しました。しかし、ここへ来て米国の代替肉市場に陰りが見られ、Beyond Meat社など市場を代表する企業は、リピート購入の少なさから自社の予測と投資家の期待を大きく下回る業績となっています。
一方、NNBのキートレンドで消費者がリピート購入するものの要素として挙がっている、「本物」、「クリーンラベル」などのキーワードに合致し、好調に売上を伸ばしている製品もあります。今回はそれらの製品についていくつか考察してみたいと思います。
(株)グローバルニュートリショングループ 寺門 夕里
GNGニューズレター(国内情報) 2022年11月16日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
MARKET NEWS マーケット
●LINE、「完全栄養食」に関する意識調査の結果発表
●キューピー、卵に関する意識やトレンドの分析調査「たまご白書 2022」を公表
●男女500人に実施した幸福度に関するアンケート調査結果発表
●2022 年 9月のドラッグストア販売額、「健康食品」は前年同月比5.6%増加
●2022年9月の通販売上高、「健康食品」は対前年同期比2.3%減少
COMPANY NEWS 企業情報
●AI食事管理アプリ「あすけん」×「リカルデント」、第二弾キャンペーン開始
●キリンの「プラズマ乳酸菌」シリーズ販売好調、1~9月の販売金額は前年比約5割増
●キリンiMUSE、 東南アジアの乳製品市場をターゲットに他企業とコラボ
●ティップネス、健康維持をテーマにした商品をローソンと共同開発し、フェアを開催
●ファンケル、「体力」を可視化する簡便な技術を開発
SCIENCE NEWS サイエンス
●理化学研究所、オキシトシンを介して食欲を抑制する神経回路を同定
●イチジクの葉由来の乳酸菌産生物質、肝炎を抑制する腸内細菌を増加する可能性
●明治のプロバイオティクスOLL2712株が高齢者の記憶力を改善する可能性
●キリンと花王、内臓脂肪と免疫の関連について共同研究を開始
[今号のハイライト]
明治のプロバイオティクスOLL2712株が高齢者の記憶力を改善する可能性
[原文:Nutraingredients-asia.com]
新しい研究で、プロバイオティクス(Lactiplantibacillus plantarum OLL2712株) を毎日摂取すると、記憶力が低下している高齢者のさまざまな記憶スコアが改善される可能性が示唆された。
東京大学と株式会社明治の研究者らは、明治が保有するOLL2712株(MI-2乳酸菌) を 12週間補給すると、炎症に関連する腸内の細菌属が減少したと報告し、「現在、認知症前段階の認知機能低下の発症と、進行を予防する効果的な薬物療法は確立されていない。今回の研究結果はOLL2712株 の継続的な摂取が高齢者の記憶機能を保護する効果的なアプローチである可能性を示唆している」と述べた。
最近の研究では、炎症と神経変性が関連付けられており、加齢に伴う脳の健康を改善するための抗炎症活性による介入への扉が開かれている。同研究はOLL2712 株に焦点を当てており、研究者らは「免疫細胞で抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生を誘導する抗炎症性乳酸菌株として最適である」としている。
同研究では、記憶力が低下している 65 歳以上の 78 人の被験者について、無作為化二重盲検プラセボ対照試験が実施された。プロバイオティクス(OLL2712株)またはプラセボのいずれかを 12 週間摂取するように無作為に割り当てられた。記憶機能は Cognitraxと呼ばれるコンピューター支援認知テストを使用し評価された。その結果、OLL2712株の摂取が複合記憶と視覚記憶スコアの大幅な改善に関連していると報告された。糞便分析によりOLL2712株 摂取群の腸内細菌叢の変化が明らかになり、ラクノクロストリジウム属、モノグロブス属、およびオシリバクター属の存在比率が減少した。
研究者らは、「これらの発見に基づいて、これらの属の減少は、OLL2712 株による腸の免疫系におけるIL-10 産生の誘導による慢性炎症の抑制によるものだと思われる。OLL2712株の投与により、脳腸軸を介して腸の炎症と神経炎症が抑制され、記憶機能が改善されるという仮説が立てられる。しかし、炎症改善の細菌バイオマーカーとしての信頼性を向上させるため、介入前後の3点サンプリングによる標準化によって、それらの再現性を確認するためのさらなる研究が必要である」と述べた。同研究の論文はNutrition誌に掲載されている。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2022年11月16日号」より抜粋)
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寺門 夕里
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