本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、武田が今年の4月に設立された健康長寿を実現する食の普及を目指す「一般社団法人セルフケアフード協議会」について考察しています。
国内ニュースからは、天然ニンニクの「生活習慣病予防」効果、健康家族と鹿児島大学の共同研究発表、ファイン、「睡眠の質に関する意識調査」を男女500人に実施、島津製作所、農研機構と「セルフケアフード協議会」を設立 カゴメ等他企業も参画表明、といった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です。
先週金曜日、安倍元首相が凶弾に倒れられたという衝撃的なニュースが流れました。
当日は、弊社主催のグローバルニュートリション研究会15周年謝恩セミナーの開催日でした。セミナーの中で、機能性表示食品制度についても触れる予定で資料を作成していました。
第2次安倍政権が無ければ、機能性表示食品制度が誕生しなかったばかりか、健康食品という一つの産業が消えてしまっていた可能性もありました。
2011年に消費者庁予算事業として「食品の機能性評価モデル事業」が行われました。日本健康・栄養食品協会が受託し、2012年4月に報告書が公表されました。その結果については触れませんが、その翌年、2013年1月に消費者委員会が公表した「「健康食品」の表示等の在り方に関する建議 」の中で、食品の機能性表示については課題が多く、時期尚早である、と結論付けられていました。
この時点で、健康食品の未来は閉ざされたも同然でした。
しかし、第2次安倍内閣の掲げた成長戦略の一環で食品の機能性表示が容認されました。
「建議」公表から半年後、6月14日に、閣議決定された「日本再興戦略」の中で「食の有する健康増進機能の活用」が盛り込まれました。そして、同日閣議決定された「規制改革実施計画」において、その実行スケジュールが明確に示されました。
それに先立つ6月5日、安倍首相のスピーチの中に、以下の内容が盛り込まれていました。
健康食品の機能性表示を、解禁いたします。国民が自らの健康を自ら守る。
そのためには、適確な情報が提供されなければならない。当然のことです。現在は、国から「トクホ」の認定を受けなければ、「強い骨をつくる」といった効果を商品に記載できません。お金も、時間も、かかります。
とりわけ中小企業・小規模事業者には、チャンスが事実上閉ざされていると言ってもよいでしょう。アメリカでは、国の認定を受けていないことをしっかりと明記すれば、商品に機能性表示を行うことができます。
国へは事後に届出をするだけでよいのです。今回の解禁は、単に、世界と制度をそろえるだけにとどまりません。農産物の海外展開も視野に、諸外国よりも消費者にわかりやすい機能表示を促すような仕組みも検討したいと思います。
目指すのは、「世界並み」ではありません。むしろ、「世界最先端」です。世界で一番企業が活躍しやすい国の実現。
それが安倍内閣の基本方針です。
しびれました。
健康食品を取り巻く状況が、一気に変わった瞬間です。
そして、現在の機能性表示食品制度は、その透明性の高さ、柔軟性などは、文字通り「世界最先端」の制度になっていると思います。海外の諸制度と比べても、これ程自由度と透明性の高い制度は、他にありません。
この素晴らしい制度を健全に育て、国民の健康生活に貢献すること、そしてその結果、業界を活性化させ、世界に飛び出して行き、日本の経済発展、国民のウェルビーイングの実現に貢献することこそが、残された私たちの使命ではないかと強く思います。
安倍晋三元内閣総理大臣のご冥福を心からお祈りいたします。
(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2022年7月15日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
●永谷園、「睡眠の質」と「お肌の健康」をサポートする機能性表示食品を発売
●ミートフィットネスから初のシーフードフィットネス食品、「美(ちゅ)ら海ステーキ」販売開始
●旭松食品、高野豆腐を使用した新ブランド「TOPURO」を展開予定
MARKET NEWS マーケット
●マイボスコム株式会社、食の多様性に関する調査結果発表
●ファイン、「睡眠の質に関する意識調査」を男女500人に実施
●SNS流行語大賞、2022年6月度の発表 1位に「Yakult1000」
●カリフォルニア・アーモンド協会、ナッツに関する消費者調査結果2021年版発表
COMPANY NEWS 企業情報
●Meiji Seikaファルマ、“医師に相談するサプリメント”「meiQua®(メイキュア)」展開開始
●ソシオフードサービス、野菜の切れ端を活用した栄養豊富なダシで食品ロス削減に貢献
●榮太樓總本鋪、食品ロス対策で賞味期限間近などの商品を会員限定で販売開始
●giversとナッシュ、サービス特典の提供開始
●キリン、教育現場の改革に取り組むARROWSと共同で免疫を学べる特別教材の展開開始
●島津製作所、農研機構と「セルフケアフード協議会」を設立 カゴメ等他企業も参画表明
SCIENCE NEWS サイエンス
●乳タンパク質の補給で月経時の倦怠感が緩和される可能性 − 明治による研究
●天然ニンニクの「生活習慣病予防」効果、健康家族と鹿児島大学の共同研究発表
●HK L-137が肌の内側から保湿力を高める可能性
[今号のハイライト]
島津製作所、農研機構と「セルフケアフード協議会」を設立 カゴメ等他企業も参画表明
[原文:shimadzu.co.jp]
島津製作所は2022年7月7日、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)と、食による健康長寿社会の実現を目指す「一般社団法人セルフケアフード協議会」(以下、SCFC)を設立したと発表した。
SCFCは「科学的な成分分析技術を基礎として、国民が自分の健康状態を把握して健康維持に必要な食を選択できる社会システムの構築・提供や日本の農林水産食品関連産業の振興」という目的を掲げている。また、その目的に賛同する食品、飲料関連企業や研究機関が参画することにより、健康長寿につながる商品やサービス開発へ活用してもらうことを目指している。
カゴメ株式会社、カルビー株式会社、森永乳業株式会社、株式会社はくばく、北海道情報大学が7月6日までに参画を表明している。
島津製作所は、農作物などの機能性、安全性の検証や、アルツハイマー型認知症の診断、研究などに用いる分析計測機器を開発している。これらの技術開発を通じて多くの共同研究に携わってきた知見を生かし、SCFCでも事務局の役割を務めることとなる。
島津製作所と農研機構は、2016年から「『知』の集積と活用の場 産学官連携協議会」(※1) に参画している。その中で立ち上げた「セルフ・フードプランニングプラットフォーム」では、大学や自治体、食品、飲料メーカーら約100機関とともに、機能性農作物、食品の研究に取り組んできた。両者は、「多数の企業・研究機関と一丸となって食を通じた社会貢献とイノベーション創出を実現していきます」としている。
※1 農林水産省および約4000の会員企業・機関が、農林水産・食品分野に異分野のアイデア・技術を導入し、革新的な研究成果を生み出し、新たな商品化・事業化に導く、産学官連携・オープンイノベーションに取り組む場。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2022年7月15日号」より抜粋)
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