こんにちは、GNGの和泉です。
10月11日号のグローバルニュースをお届けいたします。
今号では、ペルーのアンチョビ漁解禁見送りによるオメガ3サプリメント業界への影響や、米国フィラデルフィアで9/20-23に開催されたNatural Products Expo Eastで見られたトレンド、更年期の栄養素補給対策の重要性を示すレポート、腸内細菌研究において小腸と大腸のカテゴリーを区別する必要性を強調する研究論文、そしてパキミン酸を豊富に含むポリアココス(和名:マツホド。主にマツの根に生育するサルノコシカケ科の菌類)が睡眠の質を改善する可能性など、様々な記事を紹介しています。是非ご覧ください。
今号で紹介されているペルーのアンチョビ(カタクチイワシ)漁解禁見送りの記事について、オメガ3脂肪酸と関わりのない業界の方へ補足説明をさせていただきますと、ペルー産のカタクチイワシは世界のオメガ3サプリメント業界にとって最大の油の供給源となっています。
通常、ペルーの北中部海域におけるカタクチイワシの漁期は年に2回あり、その漁獲枠は政府の科学機関であるIMARPEの調査によって決定されます。これらの資源管理はサステナビリティを重視しており、漁獲枠は毎年変化します。
カタクチイワシの第1漁期は例年4月下旬ごろから開始されますが、記事にもある通り、今期は異例の禁漁となりました。第2漁期は例年11月初旬(産卵期完了後)に始まりますが、現時点ではまだその漁獲枠を予測することはできません。
2022年は原油生産量が過去数年間よりも減少したため、価格の上昇につながりました。ペルー産カタクチイワシの第1漁期の禁漁により、業界にはさらに困難な時期が訪れることになります。但し歴史的に見ると、漁獲量が平均より少ない、または漁期が短縮された場合、その後にバイオマスや漁獲枠が増加しています。そのため、現在の状況は短期的なもので、2024年後半には改善されることが期待されているようです。
皆様のビジネスのお役に立てますと幸甚です。
和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
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■GNGグローバルニュース 2023年10月11日号 トピックス
Market News マーケット
●ペルーのアンチョビ漁解禁見送り決定でオメガ3脂肪酸ブランドに動揺
●Natural Products Expo Eastで目立ったトレンド
●パンデミック後の免疫関連市場の勢いは持続するか?
●下り坂となるプラントベース代替肉の需要を取り戻せるか
●米国女性への「ピンク税」が特に乳がん患者の健康を害する可能性
Products News 商品情報
●Turtle Tree社、商業化に向けラクトフェリンの生産規模拡大へ
Science News サイエンス
●更年期の栄養不足は健康障害リスクを招く
●小腸、大腸の違いの理解を深めることがプロバイオティクス開発に繋がる
●マイクロバイオーム、遺伝子データでパーソナライズドニュートリション革命を
●イソフラボンを加えた大豆たんぱく質が閉経後の皮膚の健康を改善する可能性
●新型コロナウイルス感染症後疲労症候群の症状改善にクレアチンが有効
●ポリアココス抽出物は天然の睡眠補助薬として有望である
Company News 企業情報
●ドイツのスタートアップ企業Formo社が欧州初の精密発酵由来代替卵を発表
[今号のハイライト]
ポリアココス抽出物は天然の睡眠補助薬として有望である
[2023/10/3] [nutraingredients-europe.com]
韓国の研究者らは、ポリアココスというキノコから抽出したエキスが睡眠の質を改善する可能性があると結論付けた。
睡眠障害の有病率は87%であると報告されており、研究者らはCovid-19の流行によって悪化し、増加傾向にあるとしている。生活習慣の改善に失敗すると、睡眠導入剤などの薬に頼ることはよくあることだが、睡眠薬の過剰な使用は、疲労、集中力・記憶力の低下などの副作用をもたらす可能性がある。そのため、ハーブや東洋医学の成分が睡眠を促進する可能性があるとして研究されるようになった。特に、ポリアココスエキスは抗腫瘍作用、抗炎症作用、抗酸化作用、認知機能向上などの特性を示している。
同研究では、平均年齢55歳の不眠症患者21名にポリアココスエキスを摂取した。抽出方法はエタノール75%濃度とし、1日1回、合計800mgのポリアココスエキスを含むカプセル2個を、睡眠の30分から1時間前に経口投与した。参加者は、睡眠アンケートと睡眠ポリグラフ(睡眠中の脳波、血中酸素濃度、心拍数、呼吸を記録する睡眠検査法)を用いて評価された。その結果、睡眠時間全体が統計的に有意に増加した。さらに睡眠中の覚醒度が顕著に低下した。
研究者らは「最も重要なことは、ポリアココスエキスの臨床的有効性に関する客観的なデータを提供したことである。」と述べた。しかし、プラセボ群を欠いただけでなく、不眠症に影響する様々な要因のコントロールが不十分であったこと、投与量に関するさらなる研究の必要性など、同研究の限界について指摘している。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2023年10月11日号」より抜粋)
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