こんにちは、GNGの武田です。
先週木曜日(2月10日)、一般社団法人ウェルネス総合研究所主催のセミナー、『2022年のウェルネストレンドを紐解く』で、株式会社インテグレートの藤田さん、日経BP総研メディカルヘルスラボの西沢さんとご一緒に講演させて頂きました。
いつもながらお二人のお話には感銘を受けます。
そして、363名もの方にご聴講を頂きました。ご聴講いただいた皆様、ありがとうございました。
私は、NNB10キートレンドの一部と、「ウェルネス白書」の一部をご紹介させて頂きましたが、時間に限りもあり、十分な内容をお伝えすることが出来なかったのでは、と反省をしています。
また、NNB10キートレンドを始めて耳にされた方もいらっしゃったようです。
そこで、今回のウェルネスフードワールドでは、NNB10キートレンドについて改めてご説明すると共に、10キートレンド2022年版の概要をご説明させて頂きたいと思います。
NNB10キートレンドとは
The Centre for Food & Health Studies社は欧米で著名な業界誌New Nutrition Business誌(以下、NNB誌)を1995年より発行している、グローバルな健康・栄養産業のコンサルティング会社です。同誌では、2005年から毎年年末に“10 Key Trends in Food, Nutrition & Health”(以下10キートレンド)を発表しています。これらのトレンドは、その年だけでなく、今後数年間続く食品・栄養・健康ビジネスの将来的な方向性を示すものであり、また、欧米に留まらず、広くグローバルに拡がっていくものとして毎年発表しています。
NNB誌は、多岐に渡る大量の情報に基づき広い視点から、消費者調査、各社の活動、競争力、食品科学技術や原料の進化による既存商品にはない新規性をもとに、NNB社独自に開発した評価システムによって定量、定性分析を行い、スコア化、7つの基準に基づいて「トレンドダイアグラム」を作成し、10のトレンドを選出しています。
NNB誌にとってのキートレンドとは、「成長のチャンスがある」トレンドであり、「各企業の売上増、利益に結び付く」トレンドと定義されています。つまり、既に当たり前の現象ではなく、将来的に成長の余地が見込めるカテゴリーを対象としています。
5つのメガトレンド
2019年から、10キートレンドの上位トレンドとして「メガトレンド」が設けられました。
メガトレンドとは、かつては独立したトレンドでしたが、今ではカテゴリー、分野は関係なく当たり前となっているコンセプトとあります。新商品開発において、これらのメガトレンドを考慮することは必須となったため、10キートレンドから独立して設けるようになりました。
2022年のメガトレンドは、次の5つです。
Mega Trend 1: Naturally Functional
(天然の機能性)
Mega Trend 2: Fragmentation of health beliefs
(健康に関する信念の細分化)
Mega Trend 3: Weight Wellness
(ウエイトウェルネス)
Mega Trend 4: Snackification at the heart of strategy
(スナック化は戦略の基軸)
Mega Trend 5: Sustainability
(サステナビリティ)
それでは、5つメガトレンドと10キートレンドについてポイント解説をします。
Mega Trend 1: 天然の機能性
- 天然の機能性はトレンドの王: パワフルかつ包括的なトレンドであり、他の全てのトレンドおよび全カテゴリーに影響する。消費者が、食品・飲料・原料に求めるのは、彼らがナチュラルだと感じ、その食品そのものが持つ本質的なベネフィットを提供することである。
- イノベーション戦略: 最大の成功は、天然の機能性を持つ原料を、新たな商品フォーマットに組み込むことによってもらたらされる。
- ブランドにとって天然の機能性とは: ブランドのオーナーは、天然の機能性を有する原料を、商品の中心に据えることもできれば、健康ハロー効果を提供すべく最終商品にほんの少しの割合で使うこともできる。
- メディアの注目を原動力に: メディアによる、コンスタントかつ肯定的な注目は、消費者教育の一助となっている。彼らが自身の結論を出すのに、科学的に裏付けられたヘルスクレームは必要なく、健康ハロー効果で十分である。
Mega Trend 2: 健康に関する信念の細分化
- 食品と健康に関する信念の細分化における大きな牽引力のひとつは、インターネットである。人々は自分で検索し、信頼できる情報源を選択し、自分で答えを決める。「平均的な消費者」は、もはや存在しない。専門家は10年前に比べ、信頼されなくなってきている。
- 食の正説の変化により、専門家の信頼性は低下している。卵を摂りすぎないという「鉄壁の」助言には根拠がないとわかり、卵の消費量はこの10年で伸び続けている。また、40年言われ続けた、乳等由来の飽和脂肪酸を避けることにも科学的根拠はないことも、消費者は知っている。実際、専門家によっても意見は異なることを知っている。
- 細分化というメガトレンドの力は、全ての成長トレンドおよびカテゴリーに出現する。「良いグレイン」を求める消費者がいる一方、「グレインフリー」を求める者もいる。また、細分化はサステナビリティに関する人々の信念においてもみられる(メガトレンド5参照)。細分化された消費者の信念という市場に順応することが、長期的な成功のためには不可欠である。
Mega Trend 3: ウエイトウェルネス
- ウエイトマネジメントは、殆どのトレンドの背後にある消費者のモチベーションである。より多くのプロテインや脂肪、糖質減、より良い・より少ない炭水化物…これら全ては、体重減少または維持、見栄えの良さ、満足感という消費者の願望によって強く支持されている。
- 殆どの食品・飲料企業にとって主要な目標は、ウエイトコンシャスな、すなわち殆どの消費者にとってネガティブな点を可能な限り少なくすることである。
- 戦略上、重要な2つのポイント:
1. ウエイトウェルネスは、食品の特別なカテゴリーから、日々のライフスタイルの一部へとシフトした。「プロテイン」のように体重減少を意味するトレンドと関連付けた方が良い。
2. ウエイトマネジメントは、メガトレンドである「細分化」と強く関連している。食事量を減らす、カロリー計算する、と考える消費者がいる一方で、脂質を増やす、間欠的断食、プラントベース食品の増加と考える人もいる。
Mega Trend 4: スナック化は戦略の基軸
- 全ブランド、全カテゴリーにおいて、スナッキングは戦略のどこかに取り入れる必要がある。スナック商品は、本キートレンドで示されたベネフィットの殆どに、消費者が出会う方法である。
- スナッキングはかつて低リスクの好機であったが、状況は変わった。2004-2018年の間に、多数のスナック商品が発売された。革新的なものもあったが、特にバー、バイツ、チップス等においては、殆どが模倣商品であった。
Mega Trend 5: サステナビリティ
- サステナビリティはカテゴリーに関わらず、全企業の戦略の一部でなくてはならない。サステナビリティは、人々が貴社の商品を購入したり、原料を選んだりしやすくなる、包括的な提案の一部となるだろう。
- メガトレンドである「細分化」は、サステナビリティにおいて重要である。人々の「健康」に対する見方は細分化されているが、サステナビリティについても同様である(次頁参照)。貴社が「よりサステナブル」といって商品を販売しても、消費者の「サステナブル」の定義は全く違うこともある。また、あからさまに「サステナブル」というマーケティングをすると、多くのメインストリームコンシューマーを興ざめさせることになるだろう。
- マーケティングの可視性、メディアおよび科学の「サステナブルとは何か」、どの食品が合法的にサステナブルとクレームできるのか、という議論に煽られ、消費者は独自の見解を形成している。
これら5つのメガトレンドは、10キートレンドの上位に位置付けられています。
10キートレンドにご興味がある方は、是非、NNB10キートレンド2022年版に目を通してみて下さい。
きっと、新しい気付きがあると思います。
(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛
Mega Trend 1: 天然の機能性
Mega Trend 2: 健康に関する信念の細分化
Mega Trend 3: ウエイトウェルネス
Mega Trend 4: スナック化は戦略の基軸
Mega Trend 5: サステナビリティ
Key Trend 1: 炭水化物:より良く、より少なく
Key Trend 2: 多様化する腸のウェルネス
Key Trend 3: 燃料としての脂肪の発展
Key Trend 4: 植物を便利に
Key Trend 5: スイッチが入った動物性プロテイン
Key Trend 6: 植物性プロテインのパラドックス
Key Trend 7: 甘さの再発明
Key Trend 8: ムード&マインド
Key Trend 9: 脚光を浴びる栄養素密度
Key Trend 10: 本物らしさ&来歴
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