こんにちは、GNG武田です。
イタリアの研究者による「紅麹エキスの使用が筋肉症状および肝機能障害の発生に与える影響:有害事象報告システムおよび利用可能なメタ分析からの最新情報」という論文が2月2日に発表されています。
“The Impact of Red Yeast Rice Extract Use on the Occurrence of Muscle Symptoms and Liver Dysfunction”当時はあまり注目されていませんでしたが、重要な研究結果だと思います。
結論から述べますと、紅麹の摂取による腎臓障害、筋肉症状、肝機能障害の発生率が低いことが、10年間に渡るメタアナリシスの結果で明らかとなりました。(詳細はニューズレターの記事、及び原著論文をご覧ください)
モナコリンKによる腎障害の発生率が低いということから、紅麹による健康被害事故は、厚生労働省の仮説であるプベルル酸及びその他2成分による健康被害であった可能性が高くなります。だからと言って必ずしも紅麹が安全であると、直ちに言うことは出来ません。
「欧州食品安全機関(EFSA)は利用可能なデータを考慮し、2022年に紅麹サプリメントの安全性について警告を発し、3mg/日未満の用量で紅麹由来のモナコリンの使用を承認した。FDAもまた、紅麹サプリメントの安全性について懸念を表明し、2007年に早くもその使用に対する警告を発している。」(ニューズレター本文より)欧米とも、紅麹サプリメントについては、慎重に対応しています。モナコリンKは医薬品成分です。食品原料として使用する際には慎重になるのは当然です。
5月後半~6月前半にかけて、代替プロテインの記事が多く目につきました。植物プロテイン、培養プロテイン、昆虫プロテインそれぞれ可能性がありますが、また、課題もそれぞれ異なりますが、あります。
New Nutrition Business5月号に、乳とプラントベースミルクのハイブリッド製品のケーススタディが掲載されています。PlanetDairy社のCEOは、「未来の精密発酵たんぱく質の研究を実際に開始し、今からそれらを使って製品を作ってみる。そうすることで、しかるべき時が来た時に、すでにポートフォリオが手元にある状態になる」と将来を見据えたコメントをしています。代替プロテインに関するご相談を多く頂きますが、この事業は中長期スパンで見たポートフォリオ戦略とパイプライン戦略がないと、なかなか成功は難しいのでは、と感じています。
そのような状況で、シンガポールのおからベースの肉代替品は面白そうです。しかし、「代替品」と位置付けることは、リスクがあるかも知れません。
また、腸のウェルネスで注目されている低FODMAP食ですが、IBSに対する有効性がより高いパーソナライズドダイエットが現れたという記事にも注目です。
そして、オリーブオイル摂取による認知症関連死亡リスクが低減される可能性があるという研究も報告されています。今後の研究が期待されます。
武田 猛
この記事について
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この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
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■GNGグローバルニュース 2024年6月12日号 トピックス
Market News マーケット
●プラントベース製品、2023年の売上高が減少するも、戦略と認知で販売増加の可能性
●培養代替肉の前に立ちはだかる「消費者の受け入れ」問題
Products & Technology News プロダクツ&テクノロジー
●昆虫食の普及を妨げるのは消費者の嫌悪感
●エンドウマメからピントビーンズまで:プラントベース代替乳製品の原料模索
●ハーブ添加水牛ヨーグルトは次の「スーパーフード」になり得るか
Science News サイエンス
●オリーブオイル摂取で認知症関連死亡リスクが下がる可能性
●紅麹が腎臓障害、肝機能障害、筋肉の有害症状を引き起こす可能性は低いー10年間の最新レビュー
Company News 企業情報
●低FODMAPダイエットに比べパーソナライズドダイエットはIBSへの有効性が高い
●シンガポールの新興企業Jiro-Meat社、おからベースの肉代替品の商業化を目指す
●コアブランド2つが低迷からの脱却に貢献:サントリー食品インターナショナルアジアパシフィック
[今号のハイライト]
紅麹が腎臓障害、肝機能障害、筋肉の有害症状を引き起こす可能性は低いー10年間の最新レビュー
[2024/5/24] [nutraIngredients-asia.com]
紅麹の摂取による腎臓障害、筋肉症状、肝機能障害の発生率が低いことが、10年間に渡るメタアナリシスの結果、明らかとなった。同研究結果は、小林製薬の紅麹サプリメント事件の前月に発表された。今回の研究では、研究者らは筋肉と肝臓にのみ焦点を当てたが、メタアナリシスのレビューから、紅麹による腎臓障害の発生率は低いことも示された。
2013年9月(紅麹摂取に関連する最初の症例が記録された)から2023年9月30日まで、イタリアの研究者らは、紅麹抽出物の使用と筋骨格系症状および肝機能障害の発生との関連について、米国食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システムのデータ(FAERSとCAERS)と、紅麹に関する無作為化臨床試験(RCT)の公表されたメタアナリシスを分析した。
「紅麹摂取に関連した筋骨格系障害は、2023年9月30日までにFAERSデータベースで報告された筋骨格系障害の全症例の0.002%を占めている」と研究者らはNutrients誌に書いており、CAERSのデータも同様の傾向を示している。
6,663人の被験者を対象とした20のRCT(モナコリンKの用量は2.4mgから24mgまで)のメタアナリシスでは、腎障害と肝機能異常の発生率は紅麹群、プラセボ群ともに5%未満であった。また、紅麹サプリメント(モナコリンKの含有量は2~10mgとさまざまである)を4~24週間にわたって摂取した研究のメタアナリシスでは、紅麹群でも対照群でも肝機能や腎機能に変化はみられなかった。
紅麹には、コレステロール値を下げるために使用される処方薬の一種であるスタチンと化学的に同一であるモナコリンKを中心とする生理活性成分モナコリンが含まれているため、コレステロール低下作用がある。さらに、モナコリンKはスタチンと同様に肝臓に影響を及ぼす可能性があるが、肝臓への害とスタチン療法との因果関係は確認されていない。
欧州食品安全機関(EFSA)は利用可能なデータを考慮し、2022年に紅麹サプリメントの安全性について警告を発し、3mg/日未満の用量で紅麹由来のモナコリンの使用を承認した。FDAもまた、紅麹サプリメントの安全性について懸念を表明し、2007年に早くもその使用に対する警告を発している。
研究者らは、「FDAに提出された報告書は因果関係について情報の質と信頼性にばらつきがあり、因果関係が科学的に検証されていないため、特定の製品に関連する実際のリスクを推定するために使用することはできない」と述べている。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2024年6月12日号」より抜粋)
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