こんにちは、GNG武田です。
今月13日~16日、Naturaal Products Expo Westの視察に行ってきました。出展社数3,300社以上、来場者数は65,000人以上と発表されています。昨年よりも活況でした。
プラントベース製品の出展が多く見られましたが、その一方で乳製品の出展も目立ちました。その乳製品業界に朗報かも知れません。
2022年1月に、米FDAがマグネシウムと高血圧のリスク低減の限定的ヘルスクレームを認めて以来久々に、新たなヘルスクレームが認められました。
そしてその対象がヨーグルトです。ヨーグルトの摂取と2型糖尿病のリスク軽減を結びつける次の2つの限定的ヘルスクレームが認められました。
「ヨーグルトを定期的に週に最低2カップ(3サービング)食べると、2型糖尿病のリスクを低減する可能性がある。FDAは、このヘルスクレームを裏付ける情報は限定的であると結論付けている」
「限定的な科学的根拠によると、ヨーグルトを定期的に週に最低2カップ(3サービング)食べると、2型糖尿病のリスクを低減する可能性がある」
このヘルスクレームは許可されるまで5年以上かかったようです。乳製品が好調な中、近年関心が高まってきた「血糖値フレンドリー」のトレンドの恩恵を受ける可能性があり、今後の動向が楽しみです。
因みに、この申請をしたのがDanone North America社ですが、ヘルスクレームは表示条件を満たせばどの企業でも使用できます。
更に今号では、シンガポールのニュースも2つ取り上げています。
1つは、すり身フィッシュボールで有名なDodo社の記事です。同社はすり身を使った新しいスナックを開発しています。日本でも数年前、カニカマブームが起こりましたが、アジアでもすり身スナックブームが現れるかも知れません。
もう1つは、プロバイオティクスの属、種、菌株など、さまざまなプロバイオティクス商品ブランドに関する情報、用量、用法、有効性、使用できる年齢層などの属性によってまとめられ、さらにその商品の科学的根拠を紹介するデータベースが構築されたという記事です。
シンガポールでは、消費者は、膨大な数のプロバイオティクス商品から最も適切なものを選ぶため、医師などに相談するのが一般的のようですが、医師や薬剤師が患者(消費者)のために適切な商品を選ぶためのデータベースです。
明日は、シンガポールのレギュレーションのセミナーを開催します。1月に開催したセミナー受講者の方にアンケートをした結果、シンガポールは米国の次に関心の高い国でした。そこで、先月の米国に続き、シンガポールを取り上げることになりました。ASEANハーモナイゼーションにも少し触れる予定です。
武田 猛
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
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■GNGグローバルニュース 2024年3月26日号 トピックス
Products & Technology News プロダクツ&テクノロジー
●Hank’s、Nutianiとの提携で、脳の健康をサポートする機能性ピーナッツバターを販売
●Dodo、すり身食品をシンガポールから世界へ
●Unilever、Breyersブランドからアニマルフリーアイスクリームを販売
Science News サイエンス
●マイクロバイオーム組成は運動パフォーマンスと関連する可能性
●自転車競技のパフォーマンス向上と腸の健康との関連
●超加工食品の摂取はさまざまな疾患リスクに関連する可能性:大規模分析研究
●プロバイオティクスの総括的データベースの検証研究:シンガポール
Company News 企業情報
●Beyond Meatの立て直し戦略:2024年
●TCI、中東市場進出を見据えドバイエキスポに出展
Regulatory News 法規制
●台湾、広告規制の罰則を強化、悪質な場合閉業も
●FDA、Danoneヨーグルトのヘルスクレームに「異議なし」と判断
[今号のハイライト]
FDA、Danoneヨーグルトのヘルスクレームに「異議なし」と判断
[2024/3/6] [foodnavigator-usa.com]
米国食品医薬品局(FDA)はこのほど、Danone North America社のヨーグルトの摂取と2型糖尿病のリスク低減に関する2件の限定的ヘルスクレームについて、脂肪分と糖分の含有量に関係なく、異議は唱えないとする一方、同社への書簡の中で、糖類が多く添加された商品に、このヘルスクレームを使用するかどうか、慎重に検討するよう促している。
FDAは、Danone社から提出された申請書を再考した結果、「ヨーグルトと2型糖尿病のリスク低減との関連を示す限定的なエビデンスがある。」と判断した。「観察研究データは、因果関係を示すものではなく、特定の作用機序を明らかにするものではないが、科学的根拠のレベルを正確に説明する但し書きがあれば、2つの限定的ヘルスクレームの承認を正当化するのに十分な「信頼できるエビデンス」がある。」としている。
認められたヘルスクレームは、「ヨーグルトを定期的に週に最低2カップ(3サービング)食べると、2型糖尿病のリスクを低減する可能性がある。FDAは、このヘルスクレームを裏付ける情報は限定的であると結論付けている」「限定的な科学的根拠によると、ヨーグルトを定期的に週に最低2カップ(3サービング)食べると、2型糖尿病のリスクを低減する可能性がある」の2つだが、FDAが懸念し、慎重な扱いを求めたのは、ヨーグルトに含まれる糖類である。
Danone社から提出された申請書がFDAのサイトに掲載されたのは2019年4月だが、その後設けられた60日間の公示期間中、寄せられたコメントは、限定的ヘルスクレームの申請に対する賛成、反対に大きく分かれていたという。特に反対のコメントは「糖類が多く添加されているヨーグルトの摂取を増やすことは、2型糖尿病の有病率を増加させる可能性がある」と主張していた。
FDAは、ヨーグルトに砂糖が添加されていても、限定的ヘルスクレームの使用が自動的に失格になることなはいと説明している。その理由の一つとして、同社の申請書と研究結果によって、2型糖尿病のリスク低減と、食品としてのヨーグルトの摂取との関連が実証されたことが挙げられる。また、これまでヨーグルトに含まれる添加糖類の不適格レベルを設定していなかったため、現時点では糖類の含有量はクレーム承認の判断要素にはなり得ないと付け加えた。
しかし、FDAは同社の申請書に対する回答の中で、「かなりの量の添加糖類を含むヨーグルトに限定的ヘルスクレームを使用することは、食生活におけるエンプティ・カロリーの一因になりかねないことを懸念している。」とし、「Dietary Guidelines for Americans(米国人のための食生活指針)では、添加糖類を「総カロリーの10%未満に制限することを推奨している。」と記している。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2024年3月26日号」より抜粋)
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