今号では、消費者者を混乱させる表示システムである、として欧州の新たな
食品のラベル表示システム「Nutri-Score」を紹介しています。
Nutri-Scoreの目的は、消費者が食品を購入する際の選択条件として、
栄養学的側面も含めるように情報を提供することです。
Nutri-Scoreは、色分けによる表示システムで、深緑色がAランク(=良い)、
赤色がEランク(悪い)を示します。
負の影響がある栄養素、性の影響がある栄養素にそれぞれスコアを設定し、
不のポイントから正のポイントを引いた数を栄養スコアとします。
そのスコアからA~Eの5段階のランクを付けます(詳しくはレポートをご覧
下さい)。
その結果、フライドポテトや糖質28%の子供向けシリアルがAランクに、プレーン
ヨーグルトはCランク、スモークサーモンはDランクとなりました。
同じようなラベル表示システムに、オーストラリア政府とニュージーランド政府が
共同で進める加工食品の栄養価(ヘルシーな食品かどうか)の基準を示す
「Health Star Rating System」があります。
同制度は2014年に「消費者が加工食品を購入する際の健康的な商品の選択を
サポートする」目的で導入された任意の表示制度です。その加工食品が健的か
どうかについて星の数(0.5~5)で評価されており(星の数が多いほど健康価が高い)、
消費者は、ラベルに表示されている星の数を見ることによって、その食品が健康的か
どうかについて、簡単に他の商品と比較することができます。一般的に、星3つ以上
あると健康的な食品、という評価になるそうです。リスクとなる栄養素が少なく、身体に
良い栄養素が多い商品により多くの星が付くことになります。但し、星の数だけではなく
カロリー数(KJ)と飽和脂肪酸/糖分/塩分/栄養価の高い栄養素(食物繊維など)の
含有量を数字で明記することで、「星の数」が独り歩きしないように配慮しています。
2017年4月時点で、7,000以上の加工食品がHealth Star Rating Systemを活用して
いました。
Nutri-Scoreもランクが独り歩きしないような表示の工夫が求められます。
NNBは「食品」に良し悪しがあるのではなく、「食習慣」に良し悪しがある」と指摘して
います。我が国の「スマートミール認証制度」は「健康な食事・食環境」を評価する制度
です。単一の商品ではなく、「主食」「主菜」「副菜」のほか、牛乳・乳製品、果物の目安、
料理全体の目安も定められています(詳細はGNGニューズレター2018年6月18日
号をご覧ください)。機会が有れば、このスマートミール制度を海外にも紹介したいと
思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■NNBマガジン3月号トピック
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●公衆衛生の専門家が消費者を混乱させる新たな方法を考案
●スペインのオリーブオイル論争が国民的議論に拍車をかける
●ロシアから米国まで 乳業会社がA2の成功に目を付ける
●また「飲料大手」がイノベーションが可能であることを示す
●「創造的破壊力のある」赤字経営のスナック企業に飛びついたUnilever社
●悪化するケフィア市場と戦うパイオニア
●成長するアルコールフリー市場に乗るHopt Soda
●マヌカハニーが流行する理由
●アボカドスナックへの長い道のり
●Kind Minis:楽しむことへの寛容さ
●ミレニアルの需要が冷凍食品への関心を呼び戻す
最新記事 by 武田 猛(たけだ たけし) (全て見る)
- いざExpo West、注目ポイント振り返り|ウェルネスフード・ワールド第118回 - 2025年2月20日
- NNB10キートレンドとプロテインビジネスのこれから|ウェルネスフード・ワールド第117回 - 2024年11月27日
- 機能性表示食品の届出制度変更、ポイント解説|ウェルネスフード・ワールド第116回 - 2024年10月21日