本日配信の2024年新年特別号では、毎年恒例、前年の健康食品業界の10大トピックスをセレクトしてご紹介しています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です。
令和6年能登半島地震に被災された皆さま、ならびにそのご家族の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と被災地の1日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
謹んでGNGニューズレター新年特別号をお届けいたします。
新年特別号では、GNGが選ぶ2023年10大トピックスをまとめています。トピックスだけでなく、付随する情報も可能な限りまとめていますので、2023年の振り返りのお役に立つと思います。
1月1日から日経新聞で「昭和99年 ニッポン変転」という特集が始まりました。今年は「昭和99年」に当たるんですね。1日の特集の中で、1994年以降の日本経済の転落の様が詳細に示されていました。今後の日本経済を考えるのに、とても良い特集だと思います。
昨年、ヘイミシュ・マクレイ著『2050年の世界 見えない未来の考え方 単行本』(日本経済新聞出版)が発刊されましたが、その中に2050年に向けて「10の不安」と「10の大きな考え方」が示されています。
10の不安
- アメリカの政治体制が崩れる
- 中国、インド、アメリカの関係が悪化する
- ロシアが強く出過ぎる
- 佐原以南アフリカが貧困から抜け出せない
- 宗教紛争が勃発する
- 環境の悪化と寄稿変動を基に戻せなくなる
- 新型コロナウイルスの影響が尾を引き、そこに別の新たな脅威が襲いくる
- 中東がさらに不安定になる
- 情報革命は恩恵をもたらさず、弊害を生み出すかもしれない
- 民主主義への脅威
10の大きな(主に前向きな)考えかた
- 中間層の世界
- アメリカはいまよりも穏やかになり、居心地がよくなり、自信を深める
- アングロ圏の台頭
- 中国―世界最大の経済圏は攻撃から協調へと転じる
- EUは中核国と周辺国に分かれる
- インドとインド亜大陸―明るい未来は手の届くところにある
- 世界におけるアフリカの重要性が高まる
- グローバル化は、モノの移動からアイデアと資金の移動へと方向転換する
- テクノロジーが社会課題を解決する
- 人類と地球のより調和のとれた関係
この本の原著(英語版)は、2022年9月ですが、昨今の国際情勢を見ると、(残念ながら)この通りに進んでいることもあります。ご興味のある方は、是非、手に取ってみて下さい。
今号では、日本の健康食品・サプリメント市場について振り返り、「トレンド予測」と「ウェルネスフードビジネス戦略のポイント」を紹介し、その中でも国際展開を考える際に参考となるデータを掲載しました。皆さまの2024年のビジネスを考える上で、ご参考になればと思います。
会員の皆さまに、2つお知らせがあります。
1.ハイクオリティ・システマティックレビュー事業の開始
ご承知の通り、機能性表示食品制度開始以来、度々批判、指摘されてきた届出研究レビュー(システマティックレビュー)の質ですが、昨年はついにその質が原因で景品表示表上問題とされ、措置命令を受ける企業まで出ました。このままでは、機能性表示食品制度そのものの信用にかかわると危惧していましたが、具体的な対策として、高品質のSRを実施する体制が整いました(もちろん、PRISMA2020完全対応です)。
具体的には、弊社が城西大学薬学部と提携し、医療栄養学科の現役のアカデミアによる公正で中立的なSRを用いて、数多くの届出サポート実績を持つ弊社が届出全体をマネジメントします。つまり、サイエンスとして高品質で、かつ現実的な届出研究レビューを提供する体制となります。
ご依頼主の合意が得られれば、事前登録をし、査読時論文に投稿していきたいと考えています。
業界の模範となるだけでなく、サイエンスとしても高く評価される研究レビューを手掛けていきます。
改正ガイドラインへの対応でお悩みの方、お気軽にお声がけください。
2.日米欧ヘルスクレームサミット(仮称)
今年は、米国ダイエタリーサプリメント健康教育法(DSHEA)施行30周年を迎えます。機能性表示食品制度以上に多くの課題を抱えているDSHEAが、30年間継続できたのは何故か?機能性表示食品制度が参考に出来ることはないか?
一方、その厳格さ故、企業がヘルスクレームに頼るのをあきらめた感のあるEU。厳格な制度の元、企業はどのようにその制度と向き合い活用してきたのか。規格基準型の声も聞こえ始めた機能性表示食品制度はどのようなビジョンを描けばよいのか?
欧米から業界キーマンを招き、私も参加してパネルディスカッションも行う予定です。このサミットは、GNG創立20周年謝恩セミナーとして、これまでお世話になった会員企業様を中心に無料でご招待いたします。
開催は、5月24日(金)を予定していますが、詳細が決まり次第お知らせをします。
今年も会員企業の皆さまのお役にたてるよう、全社を挙げて取り組んでいきます。
武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2024年1月5日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
Ⅰ GNG が選ぶ 2023 年の健康食品業界注目の 10 大トピックス
●機能性表示食品関連
●代替タンパク質関連
●女性の健康
●ムード&マインド
●腸脳相関、乳酸菌研究、腸関連サービスほか
●買収・提携・協業・国内企業の海外展開
●パーソナライゼーション
●米国サプリメント市場 非ピル化が進む
●AI 活用
●疾病リスク低減トクホ(個別評価型)第 1 号誕生
Ⅱ マーケット・業界動向
Ⅲ 行政動向
Ⅳ 企業動向
グローバルニュートリション研究会の会員企業の皆様は、会員ページで最新記事から過去10数年分のバックナンバーまですべての記事を読むことができます。
[今号のハイライト]
ムード&マインド
ムード&マインドは非常に大きなトレンドである。新商品、研究ともにテーマは多岐に渡り、気分の向上や睡眠の質から記憶力に関するものまで幅広い。
まずは睡眠について触れる。アサヒグループ食品株式会社は、「睡眠に関する意識と実態調査」を実施し、その結果概要を2023年5月16日に発表した。結果、約4割が「睡眠に満足している」 と答え、5年前と比べ19.1ポイント上昇していることがわかった。
一方、株式会社ヤクルト本社が行った調査では、コロナ渦後の生活変化で「睡眠時間」が減り、「通勤時間」が増えた人はストレスが増幅しているということが明らかとなった。不調やストレスと睡眠の関係では、9割の人が「ストレスは健康に影響する」と回答しており、ストレスを感じない人は、不調にならないための睡眠と食事に関する対策を「毎日」実践する人が多く、ストレスを感じる人ほど睡眠悩みも増える傾向にあることが分かった。日本人の4割が陥っているとも言われる「睡眠負債」を考えると、日本は「睡眠不足大国」と言っても過言ではない。そのため、その市場に参入する企業は多く、新たな機能性表示食品も多く新発売された。睡眠だけでなく、他の機能も兼ね備えた機能性表示食品も2023年には複数発売された。
フジッコ株式会社は2023年5月17日、日本酸化ストレス学会学術集会にて、同社の機能性表示食品「クロノケア」の摂取による睡眠の質の改善効果について発表した。「クロノケア」は、黒大豆種皮から抽出した機能性素材であり、ポリフェノールを58%以上含み、高い抗酸化作用を有する。結果、「クロノケア」つまりポリフェノールの摂取により睡眠の質が改善されることがわかった。
また、第一工業製薬株式会社は、カイコハナサナギタケ冬虫夏草の摂取による睡眠改善効果を臨床試験で確認した。
海外では2月、「不眠症にはCBDとTHCの組み合わせが最適」とする研究が行われた。また11月、就寝前のグリシン補給は睡眠の質と覚醒度を改善する可能性も示唆された。
様々な研究や調査が行われる一方で、Nutrition Business Journal(NBJ)社が発行したCondition Specific レポートによると、米国における2022年の睡眠サプリメント市場売上成長率は横ばいとなっていることがわかった。要因としては、同市場をリードしているメラトニンに関するネガティブなニュース、パンデミック後の過剰な在庫、CBD市場の崩壊が挙げられる。
但し、CBDを除外すると、睡眠サプリメント市場は2022年に極めて緩やかではあるが成長している。NBJによると、同市場は2023年には再び成長し、その後も成長が継続するとことが予測されている。睡眠サプリメント市場が時代遅れになることはないだろう。
EU諸国のサプリメント市場では、最近、認知機能を始めとする脳機能やメンタルヘルス分野の成長が著しい。
この要因として、コンサルティング会社のDPEInternational Consulting社マーケティングディレクター、David Pineda Ereno氏はジュネーブで開かれたVitafoods 2023において、ホリスティックな健康を望む消費者が増え、その流れで睡眠やストレス、不安に関連する問題に対応する商品を求める傾向が強くなってきたことによるものだと、意見を述べた。
欧州食品安全機関(EFSA)が承認した認知機能サポートに関連するヘルスクレームは、主要栄養素に関連したものである;
・ビタミンC、銅――神経組織の正常な働きを助ける
・ヨウ素、鉄――認知機能の正常な働きを助ける
・炭水化物、DHA ――正常な脳機能の維持を助ける
・パントテン酸――メンタルの正常性維持を助ける
・葉酸、ビタミンB12 ――正常な心理的機能を助ける
・メラトニン――睡眠に入るまでの時間の短縮、時差ボケの症状緩和を助ける
EUにおける一般的な食品規制は、EU GeneralFood Regulation No.178/2002に基づいており、これにはヘルスクレームおよびラベル要件に関するガイドラインが含まれる。
海外では様々な研究が行われた。地中海食は脳年齢を下げ、認知機能の健康を改善する可能性、ブドウおよびブルーベリー抽出物は高齢消費者の認知機能を改善、レーズン由来ポリフェノール摂取による高齢者の認知スコア改善、ピーナッツのポリフェノールがメンタル向上に有望である可能性、中年期以降のDASH食の遵守が認知機能低下を予防する可能性などが示唆された。
NBJ社によると、全世代で脳の健康に対する関心が急拡大していることがわかった。業界は、精神的な優位性を求める若年世代が市場を拡大していくだろうと、注目している。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2024年1月5日号」より抜粋)
グローバルニュートリション研究会とは?
グローバルニュートリション研究会は、世界中のニュートリションに関する情報の洪水の中から価値ある情報を厳選し、タイムリーに提供する日本で唯一の健康食品ビジネスに特化した会員制サービスです。
単なる情報ではなく、これまでに弊社が関わった数多くのプロジェクトから得た経験や知見も惜しみなくお伝えしています。
ご多忙の皆様が、業界動向を短時間で把握できますよう、お役に立てることができましたら幸甚です。
最新記事 by 武田 猛(たけだ たけし) (全て見る)
- 機能性表示食品の届出制度変更、ポイント解説|ウェルネスフード・ワールド第116回 - 2024年10月21日
- サプリメントの定義、存在意義は?|ウェルネスフード・ワールド第115回 - 2024年7月22日
- Nestléの成長戦略|ウェルネスフード・ワールド第114回 - 2024年6月20日