本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、武田がVitamin D Councilについて、その活動と最新の取り組みについて考察しました。
国内ニュースからは、株式会社アクシージア、飲む日やけ止め 「ザ ホワイト ドリンク」<機能性表示食品>発売、「代替タンパク質」のうち「食べたいと思う」TOPは「植物由来の代替肉」56.8%、「食べたくないと思う」TOPは「昆虫食」86.3%、独自キノコ菌糸体を用いた代替肉の製品開発の取組みとオランダNIZO社とのコラボレーションについて、98%の日本人が「ビタミン D 不足」に該当、などといった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です
6月5日、東京慈恵会医科大学の斎藤充教授らは、2019年4月から2020年3月までの期間に東京都内で健康診断を受けた5,518人を対象に調査を実施し、98%がビタミンD不足に該当していたことを明らかにしました(東京慈恵会医科大学プレスリリース)。
ビタミンDの有用性、必要性はこれまでもこのニューズレターで度々お伝えしてきました。
COVID-19パンデミックに伴う最初の緊急事態宣言が発令された直後のGNGニューズレター2020年5月1日号では、ビタミンDについて少々長めのコメントを書きました。
その中では、米国ビタミンDサプリメント市場について触れ「2005年には$51Mに過ぎなかったビタミンDサプリメント市場ですが、 5年後の2010年には10倍の$551Mと急成長をし、そして2019年には20倍の$1,014Mにまで成長をしている。」、そしてその背景には、豊富なエビデンスがある、と説明させて頂きました。
日本では常に過剰摂取の懸念が先行し、その有効性についての議論はほとんど聞かれませんが、欧米ではその重要性についての報告はこの数年、日を追うごとに増え続けており、その必要性が再認識されていますが、一方では現代人の深刻ともいえるビタミンD 不足の状況も明らかにされています。
GNGとお付き合いの長い方はご存じかと思いますが、ビタミンDは、DHA・EPAと共に、GNG一押し成分のひとつです。豊富なエビデンスがあるにもかかわらず、日本にはほとんど伝わっていない現状を、とても残念に思っています。
日本人のビタミンD不足は以前からも指摘されていました。
ちょうど10年前の2013年に発表されたOsteoporosis International誌に投稿された“Profiles of vitamin D insufficiency and deficiency in Japanese men and women: association with biological, environmental, and nutritional factors and coexisting disorders: the ROAD study”では、血清25(OH)Dが30ng/ml以下を不足者としてその割合(%)が報告されました。
その内容は、全ての年代で血清25(OH)Dが不足していることがわかりました。特に女性はその割合が高く、全年代で80%を超えていました(40歳代は90%超)。男性も、70歳代を除き70%でした。
それから10年が経ちましたが、事態は更に悪化しているようです。
2020年5月1日号では「日本人の魚介類摂取量の減少が心配されると共に、ビタミンDのメリットを、正確に消費者に伝えられるプラットホームの必要性を強く感じている。」と締めくくりました。
米国の事情をよく調べてみると、2003年にVitamin D Councilという非営利団体が医師により設立され、その後、ビタミンDとその数多くの健康効果に関する情報の主要な情報源となっています。
Vitamin D Councilは、ビタミンDサプリメントの使用を安全かつ効果的な方法として推奨しています。
そして、ビタミンDを健康習慣に取り入れたい人々に対して、健康状態に関する情報とガイダンスを提供しています。
Vitamin D Councilは、適切な投与量やサプリメントの方法について人々に教育することで、人々が最適なビタミンDレベルを達成し維持し、不足に関連する健康問題のリスクを低減することを目指しています。
このような地道な活動が米国ビタミンDサプリメント市場の成長に貢献してきたのだと思います。
日本人のビタミンD不足は深刻なようです。
残念ながら、今の日本の法制度では、このビタミンDの素晴らしさを、正しく消費者に伝える術はありません。しかし、知っているのと知らないのとでは、選択肢の幅が異なりますし、知らないでいることの不利益はとても大きいと思います。
Vitamin D Councilの取り組みから、何らかのヒントを得ることが出来れば、という思いで、本号ではVitamin D Councilについて、その活動と最新の取り組みについて整理してみました。
武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2023年6月15日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
NEW PRODUCTS 新商品
●株式会社アクシージア、飲む日やけ止め 「ザ ホワイト ドリンク」<機能性表示食品>発売
● NutraIngredients Awards 2023でファイナリストに選出された乳酸菌「Floradapt乳酸菌i3.1」を採用したQZupシリーズ「還巡 軽潤」が2023年5月に新発売
● “記憶力” に着目した機能性表示食品「あしたを想うオールフリー」新発売
MARKET NEWS マーケット
●「代替タンパク質」のうち「食べたいと思う」TOPは「植物由来の代替肉」56.8%、「食べたくないと思う」TOPは「昆虫食」86.3%
●2023 年 4月のドラッグストア販売額、「健康食品」は前年同月比5.6%増加
COMPANY NEWS 企業情報
●独自キノコ菌糸体を用いた代替肉の製品開発の取組みとオランダNIZO社とのコラボレーションについて
●セルフケア情報メディア「健康美塾」を全面リニューアル
●日本各地に根付く伝統の発酵技術や魅力を紐解くサイト『発酵風土(はっこうふうど)』開設
●サンスター、野菜飲料初の日本災害食認証取得
●J-オイルミルズ、身体と環境にサステナブルな食生活を目指したプロジェクト始動
●腸内細菌叢の検査・分析サービス「健腸ナビ」、ヘルスケアアプリ「HELPO」にて販売開始
SCIENCE NEWS サイエンス
●腸内細菌の新規な乳酸応答機構を同定
●アスタミューゼ、腸内細菌叢に関する世界の特許と論文の調査結果を発表
●98%の日本人が「ビタミン D 不足」に該当
●ChatGPT が高血圧治療ガイドライン解釈を補助する可能性
REGULATORY NEWS 法規制
●厚生労働省、第三次「健康日本21」に女性の健康に関する項目を含めた基本方針を公表
[今号のハイライト]
98%の日本人が「ビタミン D不足」に該当
[原文:jikei.ac.]
臨床検査医学講座 越智小枝教授・整形外科学講座 斎藤充教授らは、島津製作所と新開発の液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC-MS/MS)システムを使用して、2019 年 4 月から 2020 年 3 月までの期間に東京都内で健康診断を受けた5,518 人を対象に調査を実施し、98%がビタミン D 不足に該当していたことを明らかにした。
ビタミン D は骨粗しょう症だけでなく感染症や心血管疾患や神経筋疾患、自己免疫疾患発症にも関連すると言われており、COVID-19 の重症化因子としても注目される重要な栄養素である。世界的にもビタミン D 不足・充足状態に対する関心が高まる一方で、この栄養素は必要基準範囲が完全に確立されていないことが課題となっていた。
今回の研究結果から、日本人の食生活の変化によって、現代社会では特に植物由来のビタミン D が摂取されなくなったことが推察される。今後の超高齢化社会へ向け、骨粗しょう症・骨折の予防につながるビタミン D の摂取はますます重要となっており、ビタミン D が不足している現状への早急な介入と共に、ビタミン D 不足を引き起こすその他の原因についても解析が必要だとしている。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2023年6月15日号」より抜粋)
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