現在、ターメリック(ウコン)およびクルクミンを含むサプリメントに関して、複数の国で安全性に関する規制上の関心が高まっています。
本件は、2026年3月18日5時03分(日本時間)にUNPAより会員向けに共有された情報であり、その内容はIADSAからの最新ニュースフラッシュに基づくものです。現時点では業界内向けの機密性の高いブリーフィングとして扱われています。
■ 事実関係の整理
今回の論点は、ターメリックを含むサプリメントと、稀な肝障害との関連性を示唆する安全性シグナルです。
因果関係は現時点で限定的であるものの、複数国において評価・対応が進められています。
1.欧州での先行事例
イタリアでは、ターメリック含有サプリメントに関連する約20件の肝炎症例が報告され、2022年以降、警告表示が義務化されました。また、植物由来成分としての機能表示(ボタニカルガイドライン)からも削除されています。
フランスでは100件以上の有害事象報告(うち約15件が肝炎)が確認されており、特に高用量製品や吸収性を高めた製剤への懸念が指摘されています。
ベルギーでは、肝毒性に関する懸念から製品回収が行われています。
2.オーストラリア(TGA)
オーストラリアでは、ターメリックまたはクルクミンを含む製品に関連して18件の肝障害が報告されており、その中には重篤例および死亡例も含まれています。同当局は、通常の食品摂取ではなく、医薬品レベルの摂取においてリスクが示唆されるとしています。
3.英国(COT)
英国では、食品基準庁の要請により毒性委員会が評価を実施し、ターメリックサプリメントと肝毒性の関連について「合理的に関連性がある」との見解が示されています。特に、ナノ化・ミセル化などの吸収促進技術により、通常の食経験を超える曝露となる可能性が指摘されています。
4.カナダ
カナダでは、因果関係は確定していないもののリスクを否定できないとして、モノグラフの改訂が進められており、警告表示の導入が予定されています。
5.ブラジル(最新動向)
ブラジルでは、国際的な動向を踏まえ、ターメリックに関する再評価が開始されました。特に高濃度抽出物や吸収促進製剤に対する懸念が示されており、警告表示の導入が検討されています。
■ 補足(重要なポイント)
各国の評価に共通している点は以下の通りです:
• 問題は主にサプリメント形態での高用量摂取
• 特に吸収性を高めた製剤が論点
• 有害事象は特異体質(idiosyncratic reaction)として整理されている
• 通常の食品としての摂取とは区別されている
また、本件に関して米国は現時点で規制対応を示していません。
■ GNGコメント
今回の動きは、特定成分の安全性問題にとどまらず、サプリメント全体の評価軸の変化を示唆するものと考えられます。
これまで、天然由来成分は「長年の食経験」を根拠として安全性が説明されてきました。しかし、近年のサプリメントは、抽出・濃縮・吸収促進といった技術により、従来の食経験とは異なる曝露条件を生み出しています。
今回の各国の対応は、まさにこの点、すなわち
「同一成分であっても、摂取形態によっては別物として評価する必要がある」
という方向への転換を示しています。
また、規制の方向性も注目されます。現時点では使用禁止ではなく、警告表示や使用上の注意といったリスクコミュニケーションの強化にとどまっています。これは、サプリメントの価値を維持しつつ、安全性管理を高度化する方向といえます。
なお、米国では現時点で規制対応は見られていませんが、今後の症例集積や国際的動向次第では、FDAの対応や市場側の動き(訴訟等を含む)に発展する可能性もあり、引き続き注視が必要です。
さらに、本件はターメリックに限らず、高濃度・高吸収を特徴とする他の成分にも波及する可能性があり、業界全体として重要なテーマとなることが想定されます。また、日本企業にとっても本件は無関係ではありません。
日本では、機能性表示食品制度においてクルクミンを機能性関与成分とした製品がすでに届出・販売されています。届出制度上、販売後に新たな安全性に関する科学的知見が得られた場合には、事業者自らがその情報を収集・評価し、
必要に応じて表示の見直しや消費者への情報提供を行うことが求められています。
今回のような海外における安全性シグナルは、「直ちにリスク確定」とは言えない段階であっても、継続的にモニタリングし、自社製品への適用可能性(摂取量、製剤設計、対象者設定など)を検討する契機と捉える必要があります。特に、吸収性を高めた製剤や高用量設計を採用している場合には、従来の食経験ベースの安全性評価だけでは不十分となる可能性があり、より慎重な検討が求められます。
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