原材料素材の未来を形作る5つのトレンド、ほか|GNGグローバルニュース2026年3月5日号

こんにちは、GNG武田です。

現在、アナハイムで開催されているNatural Products Expo Westを視察しています。
今年は45周年という節目の開催でもあり、ナチュラルプロダクト産業の歩みと進化を象徴する展示会は、例年以上の熱気に包まれています。
会場を歩きながら強く感じているのは、今年の展示を読み解くうえで欠かせない視点、「マルチファンクション/マルチベネフィット化」の加速です。

今号で取り上げた記事「Five trends shaping the future of ingredients」でも、多機能性は主要トレンドの一つとして挙げられています。
しかし、この現象を単なる「機能の足し算」として理解すると、本質を見誤ります。
いま米国市場で起きているのは、複数のベネフィットを並べる競争ではなく、それらを一つの生理的基盤に束ねる「統合設計」への移行です。

例えば、米国の小売店舗を見ても、その変化は明確です。
ロサンゼルスのErewhon では、サプリメント売場が成分別ではなく、「Brain」「Stress」「Gut」「Longevity」といったベネフィット軸で構成されています。
ここでは複数の機能を並べるのではなく、「どの状態をどう整えるのか」という視点で商品が編集されています。
一方、Whole Foods Marketの売場を歩くと、プロテイン、腸、ムード、メタボリックヘルスといったキーワードが同時に語られる製品が目につきます。
ただし、それらは単なる“全部入り”ではありません。複数のベネフィットが、一つの状態管理ストーリーに収束する形で設計されているケースが増えています。
他の自然食品チャネルでも同様の傾向が見られます。腸ケア製品が免疫やムード、スキンヘルスと連動して提案される場面が増えていますが、その背景には、慢性炎症や代謝の安定といった共通の生理的基盤が存在しています。

この動きは、GLP-1、腸のウェルネス、セルラーヘルスといった近年の議論とも重なります。
市場は「一つの機能を強く打ち出す」フェーズから、「日常の中で状態を安定させる」設計思想へと移行しつつあります。
その結果として、マルチファンクション化が生まれているのです。
ここで問われているのは、いくつの上位トレンドを拾えるかではありません。
① どの生理的ハブを起点にするのか
② そこから派生するベネフィットをどう整理するのか
③ 成分設計と製品フォーマットを通じて、生活者の言葉にどう翻訳するのか
この三つが設計プロセスの核心です。

マルチファンクション時代において、成分、ベネフィット、フォーマットは切り離せません。
本来は同時に設計されるべきものです。プロテインドリンク、ウェルネスショット、スナックバーといった形態も、単なる利便性ではなく、
「どの状態を日常のどの場面で支えるか」という問いから逆算されています。

Natural Products Expo Westの会場では、この「統合設計」がどこまで進化しているのかを、成分表示、ブースメッセージ、フォーマット提案の3つの視点で観察してきます。
マルチファンクション/マルチベネフィット化は成功を保証するものではありません。
しかし、これからのウェルネス市場においては、ほぼ前提条件になりつつあります。流行語を足すのか、生理学的合理性に基づく状態管理を設計するのか。その差は、売場で確実に可視化されています。
アナハイムからは、具体的なブランド事例や展示動向を交え、現地の空気感とともに改めてお届けします。
その他、注目記事も多数ピックアップしています。

 

 

この記事について

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■GNGグローバルニュース 2026年3月5日号 トピックス

Market News
●食物繊維が次の栄養トレンドとして台頭する背景と方向性
●クレアチン:より広い消費者層の認知拡大が追い風となる栄養トレンド
●原材料素材の未来を形作る5つのトレンド
●NOW Foods消費者調査が示す2026年のサプリメント市場機会
●インドにおけるサプリメント市場の消費者動向
●プロテイン市場の成長はまだ頂点に達していない — 消費者ニーズの変化と機会

Products & Technology News
●Botalys社と Biohm社マルチシステム対応のポストワークアウト回復コンセプトを提示

Science News
●サプリメント業界が「分散型臨床試験」導入で先行 — 新たな科学的検証の潮流
●HITとL-ロイシン補給が過体重男性の食欲制御に関連する可能性

Company News
●SEMCAP Food & Nutrition社がCottage Cheeseブランド Good Culture に55百万ドル投資
●Nestlé Health Science社とオーストラリアカトリック大学がスタートアップ支援インキュベーターを設立
●Arla Foods社が乳製品および原料事業で競争優位を築く理由
●精密発酵で製造したラクトフェリン原料「Vivitein LF」をVivici社が米国で投入

Regulatory News
●水産養殖の持続可能性:政策の果たす役割と課題
●FDAが食品トレーサビリティ規則を更新 — 包装サプライヤーへの影響と対応ポイント
●世界税関機構、ダイエタリーサプリメントを国際貿易上の独立分類として承認

[今号のハイライト]

原材料素材の未来を形作る5つのトレンド|GNGグローバルニュース2026年3月5日号

 2026年以降の食品・飲料原材料市場に影響を与える主要なトレンドが欧州市場調査(Euromonitor)などの消費者需要データを基に整理されている。背景にあるのは、世界的な健康意識の高まりである。
 その中核となる5つの潮流は、持続可能性、成分の信頼性、体験価値、健康重視、そして心の健康ニーズの高まりである。
 持続可能性の分野では、環境負荷の低減や透明性の高い調達体制が重視されている。成分の信頼性においては、分かりやすい表示や説明責任が製品評価を左右する要素となる。体験価値では、本格的な味わいやストーリー性が選好要因として重要視される。健康重視の流れでは、多機能型原料や栄養密度を意識した設計が進んでいる。さらに、心の健康ニーズの高まりを背景に、リラックス感など心理的価値を伴う成分への関心も強まっている。
これらの動向は、単なる原材料の選択にとどまらず、消費者の価値観やライフスタイルの変化を反映したものであり、今後の製品開発の方向性や企業のブランド価値形成にも深く関わると位置づけられる。

出典
IngredientsNetwork(2026年2月17日)
https://www.ingredientsnetwork.com/five-trends-shaping-the-future-of-ingredients-news128928.html?utm_campaign=HLN00INN-IR-2026-IN-Newsletter-Week9&utm_emailname=HLN00INN-IR-2026-Newsletter-Week9&utm_medium=email&utm_source=eloqua&utm_MDMContactID=b50c5a7e-81cd-4425-8e0f-8eb2e4a00736&utm_campaigntype=Newsletter&eM=2df495b03823e014ae1cf0fb19b3755948b0b411b82cbc874989dfd640d74163&eventSeriesCode=ES_INGDTNTWRK&eventEditionCode=HLN00INN&sessionCode=S_WNIINGNWSLTR&sp_eh=2df495b03823e014ae1cf0fb19b3755948b0b411b82cbc874989dfd640d74163
 (会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2026年3月5日号」より抜粋)

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