本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、UMB News2024年3月18日「Researchers Call for Regulation of Microbiome Tests」、EL PAÍS 2024年3月19日「Direct-to-consumer microbiome tests don’t work as advertised」から、一部をご紹介しています。
国内ニュースからは、「腸活・発酵性食物繊維・短鎖脂肪酸」の根拠ある最新情報を学べる場を協力・協賛企業と共に生み出すことを推進、ライオン、JICAと協働でバングラデシュの衛生教育支援を強化、森永製菓の独自素材 “パセノール™”中の有効成分がサーチュインを介してヒアルロン酸合成酵素発現を増強する可能性を発見、腸内細菌、「検査で健康」は遠く サプリ誘導に疑問の声、などといった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です。
先月(6月)10日、米国ソルトレイクシティにてDSHEA at 30 Summitが開催されました。食品医薬品局(FDA)のCenter for Food Safety and Applied Nutrition(CFSAN)内のOffice of Dietary Supplement Programs (ODSP) 局長である Cara Welch 博士が、業界の現状に関する報告をしました。
彼女はNDI通知要件、適正製造規範(GMP)、構造機能クレーム通知の3つの主要領域で採点することに重点を置きました。
消費者庁は先週(6月27日)、機能性表示食品制度を改正するための食品表示基準改正案を消費者委員会へ諮問しました。また、7月27日までの30日間、パブリックコメントを開始しました。施行日は9月1日の予定で、改正内容によって経過措置期間が異なります。
改正ポイントにつきましてはこれから詳しく確認していきますが、かなり多岐にわたり、表示内容についても変更が多々あります。更に、ガイドラインや質疑応答集も改正されると思いますので、その中でより詳細に説明されると思います。これらは、9月に開催予定の「機能性表示食品届出アドバイザー養成講座」で詳しく解説させて頂きます。
一方で、「新規原料」についての議論はまだ十分ではないと思いますし、何より、サプリメントに関する法整備は手付かずです。変革は緒に就いたばかりです。
そして、「紅麹 死亡疑い新たに76人」という深刻なニュースが入ってきました。
「もう小林製薬だけに任せておくわけにはいかない」。武見敬三厚労相は28日、同社の対応を厳しく批判した、と報道されています。小林製薬が、健康被害が疑われる死亡例について2カ月余り国に報告せず、調査対象の死者が新たに76人加わりました。対応は発覚当初から後手に回っており、厚生労働省は小林製薬による調査を直接管理する方針を明らかにしました。
これは行政との信頼関係を完全に失うという、深刻な状況に陥っていることだと思います。
さて、6月23日付け日経新聞にて「腸内細菌、「検査で健康」は遠く サプリ誘導に疑問の声」という記事が掲載されていました。記事の内容にはこちらでは触れませんので、興味のある方は、是非ご一読ください。
記事の中に「「消費者向けの腸内細菌検査に規制強化が必要だ」。米科学誌サイエンスは3月、こう題した専門家による記事を載せた。米国の業界を見渡し、分析の妥当性、臨床での妥当性や有用性で問題を指摘した。」という記載がありました。そこで、このScience誌の記事が、海外ではどのように扱われているのか気になりましたので、少し調べてみました。
本号では、
UMB News 2024年3月18日 Researchers Call for Regulation of Microbiome Tests
EL PAÍS 2024年3月19日 Direct-to-consumer microbiome tests don’t work as advertised
から、一部をご紹介します。
オーダーメイド・サプリメントには、私も起業する前から関心を持っていました。いまからおよそ25年前は、毛髪検査、血液検査の結果から適したサプリメントを提案するという、いわば第一世代のオーダーメイド・サプリメントの時代でした。そして15年ほど前からは、遺伝子検査結果から適したサプリメントを推奨するという、第二世代のオーダーメイド・サプリメントの時代となりました。
オーダーメイド・サプリメントのビジネスには様々な障壁があります。
・根拠となる科学的エビデンスの質
・関連法規による規制
・オペレーション・テクノロジー
この3つが大きな障壁となります。
事業化に向けて
・検査の科学的根拠レベルの確認←景表法対策
・検査結果の見せ方←薬機法、健増法対策
・サプリメントの薦め方←薬機法、健増法、景表法対策
の観点が必要です。
そして、パーソナライゼーションに伴うコスト上昇と複雑なオペレーションへの対応も求められます。
マイクロバイオームテストの場合は、まずは科学的根拠レベルの障壁を乗り越える必要がありそうです。
武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2024年7月1日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
NEW PRODUCTS 新商品
●ケンコーマヨネーズ、新商品9品発売
●女性リズムの転換期に。体のコアを整えるカルシウムサプリメント『アクティベスト コア Wカルシウム&プロテオグリカン』発売
MARKET NEWS マーケット
●NPO法人結び手、インドの田舎でバナナチップスを活用した栄養改善と女性の雇用創出事業
●自炊料理の負担に関するアンケート
●「腸活・発酵性食物繊維・短鎖脂肪酸」の根拠ある最新情報を学べる場を協力・協賛企業と共に生み出すことを推進
●糖尿病診療に関わる医療従事者への調査でツナの新しい価値を確認
●「景表法と薬機法表現に関する調査」
COMPANY NEWS 企業情報
●ライオン、JICAと協働でバングラデシュの衛生教育支援を強化
SCIENCE NEWS サイエンス
●再春館製薬所、「不知火菊」の新たな可能性を発見
●森永製菓の独自素材 “パセノール™”中の有効成分がサーチュインを介してヒアルロン酸合成酵素発現を増強する可能性を発見
●腸内細菌、「検査で健康」は遠く サプリ誘導に疑問の声
REGULATORY NEWS 法規制
●原材料の安全性と品質、どう担保する JIHFSが新規事業、「令和6年通知」対応支援
●機能性表示食品制度の改正で内閣府令案を諮問…9月1日施行へ、GMP義務化や表示方法の見直しは2年間の経過措置期間
●小林製薬「紅麹サプリ」、死者増加か 新たに76人死亡疑い、因果関係は調査中
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[今号のハイライト]
腸内細菌、「検査で健康」は遠く サプリ誘導に疑問の声
[原文:日本経済新聞]
腸内細菌を整えて健康に――。よく耳にする文だが1000〜2000種類、40兆個ともいわれる集団からなる腸内細菌叢(そう)と健康との関係を解き明かすのは簡単ではない。専門家からは検査サービスのあり方に疑問の声もあがる。
腸内細菌には同じ遺伝子を持つ種類がいくつもいる。仮に1種類の働きが増減しても、健康に影響が出るとは限らない。例えば、腸内細菌が乳酸や酪酸、酢酸、プロピオン酸などの「短鎖脂肪酸」を作る働きがよく注目されるが「ほぼ全ての種類の腸内細菌が作っている」と東京大学の服部正平名誉教授は指摘する。
「消費者向けの腸内細菌検査に規制強化が必要だ」。米科学誌サイエンスは3月、こう題した専門家による記事を載せた。米国の業界を見渡し、分析の妥当性、臨床での妥当性や有用性で問題を指摘した。
取り出したDNAの解析はコストに左右される。検査サービスでは一般に「アンプリコン解析」というコストが数千円の安価な方法を使う。ただ一般的には生物の分類でいう「属」までしか把握できず、より細かい「種」の把握も難しい。
「病気との関わりをみるには種では足りず『株』レベルまでみる必要がある」と理化学研究所の大野博司チームリーダーは指摘する。同じ種の細菌でも遺伝子変異や遺伝子の組成が異なる株の違いで、病気への影響が変わる場合があると考えられている。ここまで調べるには数万円かかる「ショットガンメタゲノム解析」をする必要がある。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2024年7月1日号」より抜粋)
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